暁～last hope～ (ページ32)

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三十ページ32

雅紀side

俺は物心つく前から翔ちゃんとよく遊んでいた。

近所だし、歳が一つしか変わらないことで仲良くなって

性格は真逆だったけど、意気投合した。

今思えば、翔ちゃんは自分の家の事、ほとんど話さなかった。

一度家族について聞いた事があったけど、上手くはぐらかされて

幼いながらに、あまり聞かない方がいいのかなって思った。

だからそれから翔ちゃんと話す時は家族の話はしないようにしていた。

雅紀「交通事故って聞いた。

2人が乗ってた車にトラックが突っ込んできて、その場で…」

俺がそう言うと翔ちゃんの表情が一瞬、歪んだ。

翔「…それって、本当に事故なの？」

雅紀「…は？」

俺は翔ちゃんの言葉に耳を疑った。

翔「…あ、いや

その…

ごめん…」

翔ちゃんがうろたえていた。

雅紀「…何か、知ってるの？

俺の両親の交通事故について…」

翔「…詳しく聞いたことあるか？

相手のトラックの運転手のこととか。」

翔ちゃんは俺の質問に答えず、そう続けた。

雅紀「俺小さかったから、そこまで詳しくは…

遺体もすごい損傷だったから見ない方がいいって…」

翔「…お前には、言っておかないといけないな。」

翔ちゃんは俺の前にあった椅子に座り、真っ直ぐ俺を見た。

翔「お前の両親は

．

．

．

．

殺されたんだよ。」

．

．

俺には訳が分からず、ただ翔ちゃんを見つめていた。