二十七 ページ29
和也side
潤「悪い。遅れた。」
いつもの情報共有の場所である、喫茶店で待っていると潤くんがやってきた。
和也「…大丈夫なんですか？」
潤「あれから痛みはないよ。
お前こそ、少し痩せたか？」
あれから1ヶ月。
手が震えた。
平常心を保たなければいけない。
和也「まあ仕事が忙しくて。」
潤「お前の過去のこと調べたよ。
…虐待、されてたのか？」
人の気も知らないで、ぐいぐい質問される。
和也「そんなこと話に来た訳じゃないんですけど。」
潤「大事なことだよ。
あの時、どうしてすぐに虐待されてたって言わなかったんだ。」
和也「…別に。
言いたくなかっただけです。
そんなの言い訳にしかならないし。」
俺は拳を握り締めた。
思い出したくないよ、あんな過去。
だけど、この人を見るといつも思い出してしまう。
本当は一緒にいたくなんてないけど…
あの人の為に…
潤「…和？
大丈夫か？」
潤くんに顔を覗き込まれた。
潤「…悪かった。
思い出したくないよな、そんなこと。」
潤くんは運ばれてきたコーヒーをすすった。
潤「さっき送ってきた写真のことなんだけど…
あれって
俺の指輪か…？」
潤くんの言葉に、俺はゆっくり顔を上げた。
彼は不安そうに眉間に皺を寄せた。
俺になんて言ってほしいの？
あなたのです
そう言ってほしいの？
和也「見覚え、あるんですか？」
冷静に、そう問いかけた。
潤「…俺のつけてたやつにすごく似てて。
それになくしたと思ってたから、もしかしたらって…」
和也「…これです。」
俺はポケットからそれを取り出した。
潤くんの物と思われる指輪。
潤「…やっぱり、俺のだ。
これ、どこに？」
和也「大野さんのものと思われるかばんが見つかったんですよ。
．
ある場所で。」
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作者名：haru | 作成日時：2019年9月12日 21時
