16話 親父の言葉 ページ18
翔side
メンバーと別れて家に帰ると弟も妹ももう寝ていた。
母「おかえり。ごはん食べる？」
母親が待ってくれていた。
俺は小さく頷く。
そんな時親父も帰ってきた。
母「あ、おかえりなさい。」
母さんには「ただいま」と言ったけれど、俺とは目を合わさずに、食事を始める。
昔から親父は明るい性格ではなかったけど、でも俺のことを愛してくれているのはすごくよく知っていた。
だからこそ今が辛い。
翔「…親父、まだ許してくれない？」
思い切ってそう切り出す。
でも親父は無言のまま。
母「…ちょっとは応援してあげてもいいんじんじゃない？
翔も頑張ってるんだし…」
母さんは助け船をくれる。
俺は大きく息を吸ってこう言った。
翔「…来年の4月、コンサートが決まったんだ。
ぜひ来て欲しい。」
その言葉に父も母も驚いた表情をした。
初めてのコンサート。
だからこそ
皆で成功させたい。
それにはやはり、家族の助けも必要な訳で…
母「コンサートやるの…？？
よかったわね！」
母は嬉しそうに微笑む。
でも父は未だ黙ったまま。
翔「…俺、頑張るからさ。
親父にも迷惑かけずに、絶対売れてやるから、だから…「本気だな？」」
俺が言い終わる前に、親父の声が聞こえた。
父「お前が本気でやりたいなら、本気でやれ。
中途半端な気持ちでやるなら辞めろ。
俺になんて言われようとやりたきゃやれ。
だけど迷惑はかけろ。1人で抱えるな。
アイドルは決して華やかなことばかりじゃない。それでも辞めるな。
お前が辞めて辛いのはお前じゃない。
ファンだ。」
親父は真っ直ぐ俺を見てそう言った。
笑っても怒るわけでもなく、ただただ真剣な目で俺にそう言ったんだ。
俺は涙が出そうになるのを必死で堪えた。
でもそんな俺を親父はお見通しで。
父「いいか？
お前は真面目だから傷つくこともある。
でも負けるなよ。
俺も母さんもお前の味方だ。」
もう、堪えられなかった。
親父にこんなこと言われたの初めてで。
心に空いた穴なんてどこかへ行ってしまった。
翔「ありがとう。
でも俺、勉強も頑張る。
頑張って大学行く。慶應大学行くから。」
俺がそう言うと親父は優しすぎる笑顔で笑った。
俺はもう、心置き無くアイドルとして、嵐としていられるんだ。
皆の為にも、頑張るしかないと思った。
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作者名：haru | 作成日時：2018年9月25日 13時
