【土方十四郎】きこえますか 2

楽しみに ページ33

「うわ、かわいい…」


「歌舞伎町にこんな可愛い子がいたなんて」


「声かけてみようかな」



すれ違う度に男の浮ついた声が耳に入り、イライラが増す
ユキはそのことに気づいていないだろう



今日のためにおしゃれをしているのは素直にうれしい
でも、鼻の下を伸ばしている男を見たらむかっ腹が立つ



「や、やっぱり声かけるのやめよ…」



「そ、そうだな…」




見惚れて声をかけようとした男たちは、隣の鬼の形相に震え現実に引き戻されるのであった



「土方さん？」


はっ


こっちも現実に戻される



「疲れてますか？」


「え、えーとな…」


返答の困っていると、「？」と首をかしげて俺を見る


これは、わざとなのか…？あざといぞ




「ワクワクしすぎて寝れなかっただけだ」


修学旅行が楽しみすぎて寝られない小学生男子かよ
大人がねぇ



「本当ですか…！？私の楽しみで、寝られませんでした」

一緒ですねと微笑むユキ



…楽しみにしてたんだな、


「歩きながら寝るんじゃね〜よ？」


「ね、寝ませんよ…！」


頬を膨らませてムスッとしてさせてしまった
怒っているつもりでも俺には効果がない
ただ、愛くるしいだけだ


「そうか？お前はやりかねんからな〜」


指で頬をつつく



「こ、子ども扱いしないでください…！」

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