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チョキチョキ……。
心地よいハサミの音が、風呂場に響き渡る。
「そういえば、お前何かあったのか？」
「え、なんで？」
「なんとなく。元気なさそうに見えたから。」
さっきの表情といい、声といい。
普段の彼女からは到底考えられないような感じをしていた。
「元気……とは言えないかな。体調が悪いわけじゃないんだけど。」
「嫌なことでもあったのか？まぁ、無理して言うこと無ぇけど……。」
「ううん。別にいいよ。千切くんになら話しても。」
"千切くんになら"──。
この一言に動揺してしまったのが、自分の手が止まったのを見て嫌なくらいに分かった。
危うく、彼女の美しい髪をざっくり切ってしまうところだったが。
「私ね。……あー。失恋したんだ。」
「……あぁ。」
そう言うと同時に、Aの長い睫毛が伏せられた。
不覚にも、鏡越しに彼女のそれを美しいと感じてしまった自分がいる。
「相手は？同級生か？」
「いや、先輩だよ。バスケ部の王子様、って言えば分かるかな。」
通称"バスケ部の王子様"、本名を
そいつは学校でも一二を争うイケメンで、その上好青年。
女子からの人気も厚いらしい。実際、俺のクラスにも何人かそいつのファンがいる。
ただ──
「Aもあの先輩のこと好きだったのか。」
「皆に流されちゃったのかなー……。よくよく考えるとそんなに好きでも無かったかも。」
「お前、そう言ってる割には暗い顔してるぞ？」
「嘘？……あー、本当じゃん。」
曇りの無い鏡に映された自身の顔を見て、納得したように彼女は小さく呟いた。
俺も止めていた手を動かし、Aの艶のある綺麗な髪を切る。
「──な、なんか雰囲気重くなっちゃったね……！」
「俺が聞いたからだよな？悪い。」
「いやいや、全然いいよ……！話したのは私だし……。それに、千切くんに話せて心の整理もついたしさ。」
「てか、髪切るのも失恋したからなのか？」
「うん。髪伸ばし始めたの、先輩がロングの子好きって知ってからだから。想いを断ち切るために。」
──理由がなんであれ、この美しい髪をバッサリと切ってしまうのは勿体無い。
それに、俺はロングヘアの綺麗なAが好きだった。
彼女が動く度に揺れる髪が、どうしようもなく好きだった。
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おかいあげ(プロフ) - わわわさん» お褒めの言葉、ありがとうございます😭😭リクエスト、とても嬉しいです……！気長にお待ちいただけますと幸いです🙇♀️ (6月9日 22時) (
レス) id: 14fd16cdce (このIDを非表示/違反報告)
わわわ(プロフ) - マジ好きです…！！リクエストで「玲王以外の男子に義理チョコをあげていたら」でお願いします！！恋人設定でお願いします！！あ、お気に入り失礼します！！ (6月9日 20時) (レス) id: 25bccbe9da (このIDを非表示/違反報告)
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