４．論理的な喧嘩 ページ6
楠城SIDE
俺たちのボスは強い。それは精神的にも、肉体的にも。俺たちはボスの負けた姿を見たことがないし、見たくもない。
でも…今回のこの抗争で俺たちは初めてボスの膝をつく姿を見るかもしれない。だから俺たちが何としてでも他の隊の隊長をさっさと倒して殲滅させないといけない。そしてボスを助ける。
「取り敢えず、一応の作戦は立てられたし後はさっちゃんが手に入れる情報で臨機応変に対応していこう。それじゃあ解散」
４人は部屋から出て行った、多分華相さんと葵ちゃんは喧嘩しに行くと思う。
「椿？」
椿「もう少しだけいてもいい？」
「…勿論」
Aちゃんはにっこりと笑った。この顔を見ると喧嘩なんて知らないただの女の子のようだ。喧嘩の時に豹変するとかそういう感じではないけど、前葵ちゃんが相手に刺された時には誰もがすごんでしまうほどの殺意を放っていた。あれには俺も驚いたなぁ…。
そっからはすごい早かった、瞬く間に不良たちをなぎ倒していって俺たちに出番は無し。
椿「ホントに…大丈夫？」
「今日は珍しく心配性ね。いつもは私が心配してる側なのに。…大丈夫、って言いきれないけど、大丈夫と言うしかない。私は羅賦良簾の首領だもの、覚悟決めないと」
椿「…！ホントに強いね、Aちゃんは。俺だって副首領なのに全然違う」
「私は私、椿は椿。椿はそのままでいいの。十分私の役に立ってくれている、いつもありがとう」
Aちゃんの言葉に嘘は見えなかった。
この器の大きさ？って言えばいいのかな、これがみんなをまとめられる力の一つだ。
椿「少し、手合わせする？」
「…良いね、私もしたいと思ってた。私たちは基本的に頭脳戦の喧嘩しかしないけど、たまには論理的に考えないで思うままにやり合うのも良いと思うの」
椿「Aちゃんは硬いから、もっと自分の気持ちに正直になっても良いんじゃない？」
「…！…そうね」
表情がさらに柔らかくなった気がした。首領だからって我慢することはない、逆に不良の頭なんて我儘で自己中な奴等ばっかりなんだから。Aちゃんはもっと自分を出すべきだと思うんだ。
「…それじゃ、かかってきて」
椿「遠慮しないからね」
俺はAちゃんに向かって足を思いきり蹴り上げた。でもAちゃんはそれを避けようとはせずに自分の足で受け止めた。結構な勢いだったのに…一瞬にして消された。
「もっと本気だせるよね？」
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年9月19日 20時
