47.場地の想い ページ49
華相SIDE
Aちゃんがこんなに怒っているのは…初めて見たな。焦ったり心配することはあるけど、声を荒げてまで怒ったのはきっとこれがAちゃんにとっても初めてだろう。
「お願い…。家族を誰よりも大事にして」
Aちゃんは手に持っていたナイフを落としてゆっくりと場地を抱きしめた。左手から出ている血が場地の来ている白い特服を赤く染める。
「後悔…しないように」
華「…ッ!」
そうだよな。いくら酷い親だったとしても子供は嫌いになれないもの…、Aちゃんも親を大事に出来なかったことを後悔しているんだ。でもそれはAちゃんのせいじゃない。
場「……すまねぇ…」
場地はそう呟いて膝から崩れ落ちた。倒れないようにAちゃんがしっかりと押さえている。左手…相当痛いはずなのに。
「…ごめんね。…貴方の覚悟を無下にしてしまって。…でも…どうしても貴方には…死んで欲しくなかったの…」
椿「…Aちゃん、泣いてる…」
華「…!」
俯いているから表情は読み取りにくいけど確かに嗚咽が聞こえる。
マ「場地…?」
「…少し…疲れちゃっただけよ」
Aちゃんは泣きながらも笑っていた。そして…、
「私も…感情的になりすぎて…疲れちゃったわ…」
場地を抱きしめたまま気を失った。
マ「…お前は…こんなことを望んでたのか。一虎」
他の奴らにもう戦う気力はない。でもマイキーは違うみたいだ。ボロボロになった羽宮をさらに殴ろうとする。やめてやれよ…、場地はこうなることを避けたくて自分を刺そうとしたのに。
武「もうやめましょう!!マイキー君!!」
武道も仲介に入ったがマイキーに蹴り飛ばされ地についてしまう。その時に何かが武道から落ちた。
マ「タケミッチ。このお守りを…どこで…?」
お守り…?
マ「場地…、ずっと持ってたのか…?“あの日”のお守りだ」
マイキーはぽつぽつと“あの日”の出来事を語り始めた。それは東京卍會結成の秘話。
一人一人がみんなの為に命を張れる、そう願いを込めて作られたチームだということをこの場で俺たちは初めて知った。Aちゃんも起きていれば良かったんだけど。
マ「東卍を作ったのはオレじゃない、場地だ」
…場地は本当に仲間想いなんだな。まだ会ってからちょっとしか経ってないけどそれでも十分わかるぐらい…。Aちゃんはそれを見抜いてなお場地を止めた。相当悩んだな、Aちゃん。
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年9月19日 20時