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紬SIDE
「がっかりするようなこと言われなくて良かった?」
「えっ…!?…あ、まぁ〜…そうね。好きと言われて喜ばない人はいないと思うし…、よっぽど嫌いな男に言われない限りだけど」
じゃあ歌さんは五条に好きだって言われたら嫌なのか、割とマジで嫌ってるし。
「俺に言われても嫌じゃなかったってことか」
「……」
無言の肯定…と受け取ってよろしい?
「そんなに元気なら私はもう帰っても大丈夫そうね」
「…後ちょっとだけ、いてほしいけど」
立ち上がった歌さんを見上げ、少し甘えた声で引き留めた。
「どこでそんなこと覚えて来たの」
「俺の人形劇を見てくれる子供から。もっとやってー、って引き留めてくれるんだよね。みんな可愛らしいし、俺も何度かアンコールに応えたことあるよ」
自慢げにそう言うと歌さんは呆れたような笑顔で俺を見つめた。…なんだか彼女とかそう言うのよりお母さんみたいだな。本当に温かくて…、ずっと隣にいてほしい。…なんて。
いやいや…、こんな俺と一緒にいてもらうのは烏滸がましいな。
歌さんは俺の隣に座り直してくれた。
「ありがと、お願い聞いてくれて。まぁ…こんなこと頼めんの歌さんしかいないし」
「それは下心有りなの?無しなの?」
「さぁ…?どっちだと思う?」
「いつもの紬なら無いと思うけど…今は…」
下心はあまり持たないし、今まで下心なんてものは俺にとって無関係だったから今言った言葉も意識的にではないかもしれない。…でも、言動にはいくらでも後付けできる理由がある。もしかしたらこうなりたかったからこう言ったのかもしれない、こんなことをしたのかもしれないってさ。
…自分を騙すための方法の一つだけどな。
「有る…のかしら」
「俺もわかんない」
「じゃあ今の発言は何だったのよ!」
「え?本音だけど」
「……ん?」
ケロっとしてる俺とポカンとしてる歌さん、周りから見ると何となく夫婦漫才をしている二人に見えるかもしれない。
「…この変な距離感でアンタと付き合うのすごい疲れるんだけど。…もういっそのこと付き合う?」
「ううん、付き合わない」
「なんでよ!?」
「だって…、術師はいつ死ぬかわからないし、東京と京都じゃ距離離れてるし。…好きな人はずっと隣にいてほしいから多分遠距離恋愛は我慢できない…と思う。…それに、こんな俺と付き合うのは歌さんにはもったいないからさ」
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suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しい感想です!頑張って矛盾が起きないように頑張ります! (2022年8月8日 22時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです!これからも無理せず頑張ってください!💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年8月5日 12時