人形だから ページ44
紬SIDE
「何言って…」
「あ……」
俺が人形だって知ってるのは…家入だけだった。…怪しまれたか?
「俺は人形だからな。…俺は死なない、眠るだけだ。誰かがこの体を直してくれるまで。…でもなぁ…、もう誰もいない。家族もみんな…みんな死んでしまったよ。元から栄えていた家系ではなかったけど」
俺たち家族以外の絡繰家を俺は見たことがない、もしかしたら世帯が一つしか残らないように子孫が出来たらドンドン滅ぼしてったのかもしれない。…でも絡繰家も俺で終わりだ。俺が壊されたら絡繰家はいなくなる。
「え?絡繰はちゃんとした人間でしょ?」
「五条の六眼ってそこら辺見えないんだな。俺は人形だって前から言ってるじゃん」
五条は話を呑み込めていないらしい、ポカンとしてる。俺が呪力で守ってるせいか五条は俺のことを何も見えないって言ってた。でも俺は呪力をほとんど放出しない。…どうなってるんだろうな、俺の体って。
…まとめると?…俺の体は呪力で覆われてて、でも放出はしてなくて…。残穢も一切残らない。俺自体が呪力そのものってことか?確かに俺自体が人形だから守るために呪力を被せて…、呪力そのもので…、
…あぁ。もういいや、俺賢くないし。考えるだけ時間の無駄だ。
「存在価値が無くなったら後は壊されるのを待つだけだ、…だから五条だけでも俺をずっと必要としてくれよ?」
「絡繰…」
「なーんてな!誰も必要としてくれなくたって俺には人形がいる。…俺は一生一人ぼっちにはならない」
「…!絡繰にとって人形は命よりも大切なものなんだね」
「勿論」
人形よりもずっと大切なもの…、それは何だろうな。間違いなく自分ではない。家族ももういないから外す。歌さん?五条?家入?…何かどれも全部違うな。やっぱり人形が一番か。
「即答…」
「今俺にとって大切なもの思い浮かべてたけどどれも人形には敵わない。そもそも人形がないと俺は戦えないし」
「僕、絡繰が戦ってるの見たことないからな〜」
「…なかったっけ」
「ないと思うけど?」
なかったか。…あまり人前で戦うの好きじゃないし、合同任務もないから。多分誰かの前で戦っている時はメイデンじゃなくて夜蛾先生特製の人形使ってる。…五条、メイデン知らないかな。
「じゃあ、これ見たことある?“乙女人形”」
「あるような、ないような」
「可愛いでしょ、俺だけの人形。人形って持ち主がいると朽ちないんだ」
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suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しい感想です!頑張って矛盾が起きないように頑張ります! (2022年8月8日 22時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです!これからも無理せず頑張ってください!💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年8月5日 12時