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紬SIDE
…夢か?夢にしては…現実っぽい声と見た目だった。疲れて幻影でも見たのか。
「…瞑理って…誰だよ」
思い出せない…。名前も…声も思い出せるのに、これが誰なのか…俺にとってどんな存在なのかわからない。…わからないのが、苦しい。
こんな思いは…、生まれて初めてだ。…一回死んでるけど。
「“乙女人形”」
「_?」
「…来て」
メイデンは何も言わず俺の傍に来た。人形に温度なんてないけど、…温かいな。
「_____?」
「何でもない…。さっきは当たってごめんな、メイデン。…今は何も聞かないで…ただ傍に…い…」
多分俺は話し終わる前に眠りについた。
「(…おやすみ、主。…嫌われても…壊されても…、私はずっと主の“傍にいるよ”)」
昼寝は初めてした。仮眠をとる時だって夜の7時から8時ぐらいだ。
「…ん……」
起きたらもう日は沈んでいた。薬を使わなくても…、長時間寝れた。人形を抱いて寝たおかげだろうか。…おかげで心も体もすっきり。…とまではいかないけど、起きてる時よりはまだマシになった。
「_、___。____」
「あぁ、おはよ…。今何時だ」
時計を見ると短針は10を指していた。…22時?
「…っ!寝すぎた…、仕事入ってないか?」
急いでスマホを見たけど、仕事は入ってなかった。その代わり五条からのメールが一件あった。
『起きたー?ちょっと来てほしいんだけど』
「…メイデン」
「___…_________」
全く…人形を脅すなよ。
「それにしても…用事ってなんだろうな。五条が呼び出すことは珍しくないけど…」
…行くか。特に急ぎの用事でもないだろうし、ゆっくり。
「五条、一体何の用事?」
「うへぇ…、笑ってる。寝てる時はあんなに苦しそうな顔してたのに」
「別にどうでもいいことだな。…用事は?」
「京都校の裏切り者がわかった」
…へぇ、歌さん見つけられたんだ。殺したのかな。
「誰?」
「究極メカ丸、本名は与幸吉。…わかるよね?」
あぁ…、あの機械か。…そう言われてみれば確かにあいつが一番裏切り者っぽいよな。傀儡操術だから自分がその場にいなくても色んな傀儡を使って情報収集が出来る。
「それで、殺したのか?」
「いやー、それが逃げられたらしくて」
「…は?」
「怒らないでよ」
怒ってるというか…びっくりしてる。…あいつは動けないから逃げられないはずなのに。
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suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しい感想です!頑張って矛盾が起きないように頑張ります! (2022年8月8日 22時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです!これからも無理せず頑張ってください!💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年8月5日 12時