感情 ページ5
紬SIDE
「…？」
…ここまで言ってもわからないって、鈍感なだけなのか気づかないふりをしているだけなのか。大人だし知ってることは知ってると思うんだが…。
…一度、本当にわかってもらった方がいいかな。
突き放してね、歌さん。
「！ちょっと…っ！」
「…だーから、許したら駄目だって。…ね？」
「〜〜〜！！顔だけは良いんだから…っ！」
突き放してもらえなかった…、というか殴られも押されもしなかった。…ただ顔を真っ赤にしてるだけ。え？今何してんのかって？…押し倒してるだけだよ、これ以上は何もしない。術師は恋人なんて作るもんじゃないしね。…いつ死ぬかわからないからさ。
「俺を除けないの？」
「どうせ今日だけだろうしわざわざ除けたりなんかしないわ」
「…俺を子供だって思ってる？どんなに大人しくしてても男は男だ。狼にも変身する」
舐められてんなぁ…、まぁさっきまでわんわん泣いていたから当たり前か。
「ねぇ、歌さん…。…いや、歌姫…。…このまま襲われちゃっても後悔しない？」
「服に手をかけられたら殴る」
「ふっ…あっはははは！やっぱり除けるじゃん。冗談だよ、……って、服に手をかけられたら？…顔近づけられた瞬間殴るんじゃないの？」
「……あ」
あ、って…、全くこの人は。付き合ったことないのかな…、ガードが緩すぎる。こんなんだと男にいつ襲われてもおかしくない。…術師は呪霊か術師同士以外そんな繋がりないけど。…それは俺だけかな。歌さんはスポーツ観戦とか行くし多少はあるか。
「……どうかしたか？」
「…右目、初めて見たわ」
「この状況でめっちゃ呑気なこと言うじゃん…。…気持ち悪くないんだ。目を逸らさないってことは…」
いつの間にか耳にかけていた前髪が外れていた。歌さんの上に乗ってるから俺の顔全部見えるよな、びっくりはされたけど…そこまで嫌そうな顔をしていない。…良かった、のかな。
「とっても…綺麗ね」
「…！そっかぁ…、綺麗かぁ。初めて言われた、そんなこと。兄も俺と同じ目を持ってるけど、兄は白とか透明じゃなくて真っ黒のガラスだから、そこまで気持ち悪くないんだ。でも、俺は真っ白。腐敗しているみたいで俺でさえ…気持ち悪いって思ってたのに」
「そう？私は綺麗だと思ったけど」
本音…か。
濁りのない瞳…、俺はこっちの方が綺麗で好きだな。
「ちょっ…！流石に眼を触るのは！」
「…っ！ごめん！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しい感想です！頑張って矛盾が起きないように頑張ります！ (2022年8月8日 22時) (
レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです！これからも無理せず頑張ってください！💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：suffron* | 作成日時：2022年8月5日 12時
