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紬SIDE
ピーっとバイタルセンサが鳴った。…本当に少ししか生きられないんだな。
「10月19日11時28分、ご臨終です。…本当によく頑張られました」
「うっ…うぅ…ッ!」
母親の嗚咽、それを支える父親。…何気に初めて他人の死に立ち会ったかもしれないな。
医者は出て行った。多分この後霊安室に連れて行かれるだろう。その前に魂を込めないと。
「“魂魄人形”」
礼菜ちゃんの魂が俺の作った人形に入る。人形は目覚める。
「お母さん、お父さん」
「ッ!?礼菜!」
「お母さん!」
「…本当に生き返らせることが可能だなんて」
社長はびっくりして腰が抜けている。…俺、今まで信用されていなかったのか。
まぁ…少し訂正したいところはあるけど。
「生き返らせるわけではなくて、もう一度作るんです。死んだ人の偽物を。それが絡繰家の力、俺は特にその力に特化している。医者が来る前にその人形は隠した方がいいです、びっくりされますから」
「あ…あぁ、そうだな」
社長は娘を連れて病室から出て、医者に見つからないように帰った。
「礼菜…、これは…夢…?」
「夢ではありませんよ。…また一緒に暮らせますね、愛する娘さんと」
「…先ほどはすみませんでした。…何も知らずに…」
「いえ、信用できないのは仕方ないことです。…一つ気を付けてほしいのですが」
俺はこのことを言うか迷った。でも言わなければならない、人形と一緒に暮らすということはどういうことなのか。
「人形は老いない、絶対に死なない。…体もずっとそのままです。他人と関りをあまり持たない方がいい、…いつか成長しないことを怪しまれますから」
「…老いない…?」
「はい、人形は朽ちていくだけ。でも持ち主がいればまた変わっていく、大事にしていればずっとそのままです」
「…わかりました。娘には特定の人だけと付き合わせます」
人形は色々面倒だ。俺が死んだのは成長期後だったから何の問題もなかったけど。
「それと…、礼菜ちゃんは記憶を失っています。。勿論両親のことは覚えています。ですが、大切ではないもの、…礼菜ちゃんにとってそこまで必要でない記憶は全て消されているので…」
「私たちのことさえ覚えていてくれるのなら…私はそれでいいです」
…!この母親は毒親の一種だろうか。娘を大切にしていると思わせて、自分たちのことしか考えていない。…一目じゃ俺もわからなかった。…でも、
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suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しい感想です!頑張って矛盾が起きないように頑張ります! (2022年8月8日 22時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです!これからも無理せず頑張ってください!💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年8月5日 12時