追憶 ページ36
NOSIDE
懐かしい記憶を夢で見る。呪詛師になった夏油、一度死んだ絡繰、大人しくなった家入。全部懐かしいこと、一生忘れられない記憶。
「五条先生」
「先生も寝るんだな」
「当たり前でしょ、何言ってんのアンタ」
今年の一年も有望な術師ばっかりだ。みんな強い。
これから一年ズは京都の裏切り者に会いに行く、歌姫と一緒に。誰も怪しくないから消去法で問い詰めるらしい。
裏切り者は究極メカ丸、本名は与幸吉。
傀儡操術を使う術師の一人。天与呪縛により、操作の範囲が日本全土に及ぶ。
…もう一人の裏切り者は…誰なんだろうな。東京側で…学長よりも位が上。
紬SIDE
「はい、私が絡繰ですが」
『お願いがあります』
電話の相手は男の人だった。どうやら会社の社長らしい。
内容は自分の娘が危篤で危険な状態、死んだときのために魂魄人形を作ってほしい、とのこと。…俺は術師だから術師の人形を作るんだけどな。まぁ、非術師の人形も作れないことはない。ただ呪力は多少入る。もしかしたら呪霊が見えたりするかもしれない。
『お待ちしております』
そう言って切られた。すごい強引な人…、社長だからかな。取り敢えず行こう、死人の人形を作るのは俺たち人形師の仕事だ。
「順平、ごめんな。少し仕事が入った」
「そ、そんな…。出来るだけ早く帰ってきますよね？」
「あー、相手次第かなぁ」
落ち込んでいる順平を後にして、俺は社長の娘が入院している病院に行った。
「お待たせしました。娘さんはどちらに？」
「こっちです」
社長に連れられて向かった病室は、ICU。重篤な患者が入る治療室だ。社長の娘の名前は礼菜、小児がんで小さな頃からずっと闘病生活だったみたい。…腕には何本も点滴が刺されていて、鼻から管が通っている。…足も腕も細い、頬もこけている。
あぁ、これが人形か。
「今この場で人形を作ってもあの姿のものしかできません。元気だったころの写真を見せてもらえますか？」
「わかりました。…これです」
昔のふっくらとした体型と今の体型を合わせる。
それから性格や好きなもの、得意なこと、そして最後に全ての記憶を彼女から読み取り、俺は人形を作り始めた。でも途中で礼菜ちゃんが心肺停止。俺は縫うのをやめて呪力で人形を組み立てた。見られたら困るから隠しながらだけど。
「礼菜！礼菜！」
(瞑…理…)
「…？…なんだ、今の」
気にしないでおくか。
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suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しい感想です！頑張って矛盾が起きないように頑張ります！ (2022年8月8日 22時) (
レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです！これからも無理せず頑張ってください！💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年8月5日 12時
