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絡繰SIDE
「俺、もう高専帰りてぇんだけど」
「その体に慣れるまでお前に任せた、だとよ」
「ぐ…」
兄の伝言には逆らえない、逆らったら後でマジで殺される。…会える機会なんてそうそうないからバレなきゃ大丈夫だけど。
「そういえば、お前どうしてこんなところに住んでんだ?」
「俺はひっそり暮らしてるからな!人形も動かせはしないけど、一応作っている」
へぇ…人形を。どうりで手つきが慣れていると思った。
「瞑理は」
「めい」
「あ?」
「その名前あんま好きじゃねぇからさ、めいって呼んでくれよ」
かっこいい名前だと思うんだけどな。めいなんて女の子の名前みたいだ。
「そ、まぁいいや。じゃあ、めい。めいは俺が術師だって知ってるか?」
「あー、何となくな。呪霊ってやつは見えてるし、何となく呪力を感じることも出来る。俺にはないけどな」
へぇ…、呪霊見えてるんだ。呪力も感じれるし…、呪力を手に入れたら強くなるかもな。
「睦月はちげぇだろ?」
「あぁ、絡繰家の中で俺が唯一の術師だ」
「スゲェなぁ、術師」
誰か…知り合いがいるのだろうか。眼は俺の方を向いているけど、俺じゃない誰かを見ている。…俺の後ろに…一体誰がいるんだ。
…少しだけ、視てみるか。
「………」
コイツ…、何かにとりつかれてるな。…あまりにも呪霊の怨念が薄すぎてこの眼でも見にくいほどだけど。何か…いる。…術師は呪霊にならないらしいが、多分この呪霊は…元術師だ。
「…、、」
「どうかしたか?」
「いや、何でも」
俺らはめいの家の中に入った。めいの家は小さなログハウス。見た目にそぐわない可愛らしい要請でも住んでそうな家。
「さ、しばらくはここで暮らそう!」
「ご飯とかは」
「俺が作る!自炊は得意だからな」
コイツは思ったより面倒見がよく、お風呂もご飯も服も全部用意してくれた。ついでにご飯は美味しい、料理は本当に得意なようだ。
めいと暮らし始めて一カ月が経った。
「めい」
「どーした」
「もう大丈夫だ、俺は高専に戻る」
「…そーかい。俺もそろそろ戻ってもいい頃かと思ってた」
コイツとの一カ月は早かった。俺は今まで家族以外の誰かと暮らしたことはなかったし、勿論彼女も彼氏も出来たことはない。コイツといるのは居心地が良かった。正直言うと、このままここで呪霊を祓い続けていたい。
…でも、
「ッ!?めいっ、避けろ!」
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suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しい感想です!頑張って矛盾が起きないように頑張ります! (2022年8月8日 22時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです!これからも無理せず頑張ってください!💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年8月5日 12時