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絡繰SIDE
あいつはいない、多分星漿体を殺しにいった。…あいつは化け物だ、五条でさえ…勝てないだろうな。
「(主、死ぬ…?…何か私に…出来ること…)」
「…ごめ…んな、お前が…出来る…ことは…ない…」
俺は動けない体を無理矢理動かし、とある人に電話をかけた。
『もしもし』
「兄…さ…」
『どうした…!?』
「東京の高専まで…来て…欲しい…」
息も絶え絶えになりながら、俺は兄に訴えた。
「俺が…死んだら…人形を…」
『ッ…!わかった、すぐ向かう』
兄はそう言って電話を切った。
「ッ…はぁっ…はぁ、、…メイ…デン…、死んで…いい…か…」
「(私に聞かれても…何もわからないよ)」
「…そう…だ…よなぁ…、ウ…ッ…」
今になってめっちゃ痛みが襲って来た。痛いなぁ…、もう我慢しなくても大丈夫なんだがどーしてか我慢してしまう。兄の顔を見るまで…寝たら駄目だと思てしまう。
「おい!」
「あれ…、案外…早かった…な。兄さ…ん」
「何が…あった」
「呪詛師…に…やられ…た。…あのさ、俺もう死ぬから…、兄さんの人形に…込めて…くれよ…。俺の魂…」
兄は無言で頷き、人形を作りだした。
“魂魄人形”
絡繰家の人形師は死んだ人間の魂を込め、何度も生き返らせることが可能だ。でもそれはあくまで人形、本物の人間じゃない。だからどこか歪だ。
それに…、死んだ後の人形は生前の記憶をほとんど失う。全部失うわけじゃないのがまた面倒な所らしい。俺は今まで一度もそれを作ったことがない。作れる回数にも限りがある、だからポンポン作れねぇんだ。
俺はこれを術式として使う。何故か…。
俺が人形に呪力を込めることで術師を生き返らせることが可能だからだ。他の家族は非術師だけ生き返らせる。
「…兄…さ…。もう…いい…よな」
「あぁ、十分だ。魂の形も肉体も全て把握してある。一旦おやすみ、起きたらもう俺らのことしか覚えていないだろうけど」
「どうだろう…な…。あいつらのことも…覚えて…いたい…よ」
俺は意識を手放し、そのまま死んだ。…え、死んだの?本当に?あっけなくね?
…って、死んだもんはもう戻らねぇからあーだこーだ言ってらんねぇよな。…あ、俺の肉体から魂が離れていく。そして…人形に移される。
ついさっきまで見えていた景色がいきなり真っ暗になった。…これで完了か。
ありがとな、兄さん。
今度こそ…死なねぇ。
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suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しい感想です!頑張って矛盾が起きないように頑張ります! (2022年8月8日 22時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです!これからも無理せず頑張ってください!💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年8月5日 12時