天与呪縛 ページ26
絡繰SIDE
みんないなくなったことだし、
「さーて、ちょ〜っと本気出そうかな」
糸が繋がらない理由、それはこいつがフィジカルギフテッドだからだ。天与呪縛…、呪力が一切与えられなかった代わりに化け物並みの身体能力を得た。…俺にとって天敵。一切糸が繋がらないなんて戦いようがない。気配すらも感じ取れないから、感覚だけで戦う。
首のチョーカーも開眼もした。
「“乙女人形”」
メイデン…、フォローは頼んだよ。
「“行け”」
動きの軌道に法則がない…。…本当に感覚で戦うしかないのかよ。
「“弦”」
呪詛師は…殺す。
「“束縛”」
相手の筋肉量を縛る、そして命を縛る。攻撃をする度に自分が傷つくように。
「ッ___!シン・影流 簡易領域“夕月”」
攻撃一つ一つが重い…、縛ってでもこれか!なら…もっと縛らねぇと。
「“もっと…もっと縛れ、動けなくなるぐらいに”」
呪力が減っていく感覚があるから効いているはずなのに…、どうして…動ける。
ッ…!!
まさか…、こいつは呪力自体受け付けねぇのか!?攻撃的な呪力は体に効くけど、内部を侵す呪力は弾く。…いや、わからない。これはあくまで推測。
「…速ぇ…っ!…ガっ!?」
いつの間に…後ろにいたんだ。…思いっきり刺されたじゃねぇかよ。
「…ゥ゛…ッ」
反転術式で治す。まだだ…まだ戦える。
チッ…、反転術式かけながら戦うの面倒なんだよ!感覚…無くすか。
「“傀儡子”」
どれだけ刺されようと斬られようと…、関係ねぇ。
「領域展開“想糸躁操…」
腕を落とされた。だが…、俺のこの領域は印を結ばなくても展開することが可能だ。多少精度は落ちるけどな。
「…ッア゛…!?」
…どうして…だ。感覚はない、血も流れない…。…なのに、
「特級呪具“天逆鉾”」
発動中の術式を…強制解除する…。
俺は急いで刺された部分に反転術式を施した。だが、相手は刺すだけでは足らなかったらしくそのまま俺の体を真っ二つに切り裂いた。貫通しながら切れなかったのが不幸中の幸いだ。
「……」
負けた…。…なんで、完敗なんだよ。
一切攻撃が効かなかった。…はぁ…死ぬのか、俺。
ゆっくりと目を閉じ、俺は家族のことを思い浮かべた。優しい兄、子供っぽいけど子供扱いしたら怒る可愛い妹たち、俺にこんな力を与えてくれた両親。
「メイデン…、まだ…いるか」
「(いるよ。でも…、もう)」
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suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しい感想です!頑張って矛盾が起きないように頑張ります! (2022年8月8日 22時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです!これからも無理せず頑張ってください!💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年8月5日 12時