人形師 ページ2
紬SIDE
…涙が出ない。あまりのショックのせいか…それともすでにこうなっていることをわかっていたからか…。…埋葬しないとな。
「…ごめんな、置いていってしまって…。苦しかったよな…。死ぬの…怖かったよな…」
穿血を食らった方は多分即死だけど、残穢からして赤縛で首を絞められた方は相当苦しみながら死んでいったはずだ。窒息死は…一番苦しいらしいから。二人が呪いに転じないようにしっかりと呪力を使って殺されている、残穢を辿ればいくらでも犯人を見つけて殺せるというのに。御三家という存在は本当に狂っている。
俺は妹たちの眼を閉じ、遺体を燃やした。体が焼ける臭いはずっと鼻に残るような臭さで俺への最後の仕打ちのような感じがした。
「……俺も置いていかれたな。もう…俺には人形しかいないよ」
燃やし終わった後は残った骨を実家で見つけたからくり箱に入れ、頭蓋骨だけ綺麗に保存できるように弦で作った箱に入れた。せめて骨だけでも…近くにいてくれるように。家族を亡くして…俺はわかった。
一年に一度しか会えない家族でも俺は愛していたんだって、心に大きな穴が空いてしまうほど心の拠り所にしていたんだって。
馬鹿らしいよな…、こんなすぐにわかりそうなことずっと頭のどこかに隠していたなんて。
「本当に…馬鹿だ」
「誰が馬鹿だって？」
「なんでいるの？歌さん。歌さんに俺の家の住所教えたことないと思うけど」
「五条に聞いたわ。それで誰が馬鹿だって？」
「何でもないよ。ちょっとした独り言だ」
そう言っても歌さんは一切納得していないようで…。
「あんた…そんな顔するのね」
「そんな顔…って？」
「苦しそうな顔、今にも泣きだしそうな顔」
あれ…、俺笑えてなかったのか。マズいな…、自分では笑っていたつもりだったのに。哀の人格も出てきているわけでもないし…、今の感情を違う人格でも表せられるようになったんだ。
あぁ…笑わないと。
「…どうしたの、絡繰」
歌さんは下を向いている俺の顔を無理矢理上げようとした。
「今更笑顔を作っても遅いわよ。無理に笑ったら余計に苦しくなるんじゃないの？」
「ははっ、冗談が過ぎるよ。苦しい表情なんてしていない、見間違えじゃないか？」
息が上手くできない、口を結んでいないと涙が溢れるのを止められなくなる。
「それより、いきなりどうした？俺に何か急ぎの用事でもあったのか？」
上手く…笑えてるよな？
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suffron*(プロフ) - 水野さんさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しい感想です！頑張って矛盾が起きないように頑張ります！ (2022年8月8日 22時) (
レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
水野さん(プロフ) - この小説、よく話が組み込まれていてすごい大好きです！これからも無理せず頑張ってください！💪💪💪 (2022年8月8日 21時) (レス) id: 67d79f5597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年8月5日 12時
