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九井SIDE
自分でもどうしてあんなことを言っちまったのかよくわかってねぇ。
白橋はここの店長で俺は客でしかない。付き合ってはいないし、特に仲が良いわけでもない。それなのに、白橋の作るご飯を食べたら一気に今まで溜まっていた疲労が溢れ出してアジトに帰りたくなくなった。
何か薬でも盛られたか?…いや、白橋はそんなことはしないだろう。そういうことをする人間には到底見えねぇ。一切媚びを売らず、淡々と話しどっか違う部屋に行ってしまった。
正直言うとこんな扱いを女にされたのは初めてだ。風俗の女は甘ったるい匂いと猫撫で声で俺にくっつきまわる。偽りしかない愛の言葉をかけてやるとさらに大きい声で啼く。それが気色悪くて最近はずっと女を抱いていなかった。
九「…不思議な女だ」
客として話している時は澄ました顔で笑っているのに、営業時間が過ぎた途端その笑顔が消え声も心なしか冷たくなった。多分店を閉めた後の白橋が裏の顔、と言うやつなんだろう。まぁ、優しくなかったら俺を無理矢理でも帰しただろうし、根っこは別に冷たいわけじゃないよな。
その不思議な女のベッドに俺はいま横になっている。キツイ香水の匂いは全然しない。アイツの控えめで爽やかな匂いとアロマのおかげで久しぶりにゆっくり寝られそうだ。
微かに聞こえる規則的なミシンの音も重なって段々と瞼が下がってくる。
明日あいつらに九井が朝帰りをしたってうるさく言われんだろうな。
…今はそんなこと…どうでもいいか。もう寝そうだ。
白橋SIDE
隣の部屋からは何の音も聞こえない。ここの部屋は防音じゃないからミシンの音がうるさくないか心配だけど、九井さんは相当疲れていたしあまりこの音も気にならないんじゃないかと思ってる。
もう寝たかな…。ちょっと確認してこよう。
「…ん、寝てるね」
私のお気に入りのクッションを枕にして、私が枕として使っているのをクッション代わりにしている。
「…ふふっ、あべこべ」
目の下には濃い隈、首や鎖骨は異様なほどに骨が出ている。反社って本当にブラックなんだね、過労死する人も少なくなさそうだ。九井さんもいつかフラッと倒れてぽっくり逝っちゃうんじゃない?
「そんなことになったら大変だねぇ…」
私は彼の頭を少し撫で、掛布団をかけてあげた。久しぶりに寝れたのかな…、触っても何しても起きる気配がない。
しばらく触ってたらいきなり腕を引っ張られてベッドに引き込まれた。
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シオン(プロフ) - suffron*さん» マイキー、落ち着いて〜〜 (2022年11月13日 17時) (レス) id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
suffron*(プロフ) - シオンさん» マイキーは夢主とイザナの関係を知りませんからね、一切 (2022年11月13日 17時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - ちょ〜〜マイキー、これはやばいよ。夢主のイザナみたいだと勘違いしてるぽいやぁ (2022年11月13日 17時) (レス) @page39 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - suffron*さん» 楽しみに待ってます!!! (2022年11月13日 16時) (レス) id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
suffron*(プロフ) - シオンさん» まぁ答えは次のお話で出てきますので〜 (2022年11月13日 16時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年11月2日 0時