仕立て屋と反社【東リべ】【梵天】

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白橋SIDE

　灰谷さんたちが帰った後、作りかけのスーツに手を付け閉店時間までずっと縫い続けていた。私の店にくるお客さんはオーダーメイドのスーツを頼む人が多い。だから一日にたくさんのお客さんが来るわけじゃない。ショーケースに飾られているものを買う人たちは大体見た目とかにこだわらないで着られればいいって人がほとんど。

　至急スーツが必要になる人も沢山いるしね。

　私の店は第二金曜日と第四金曜日がおやすみ。どうして金曜日なのかって？この店にはリーマンがたくさん来るからね。あの人たちにとって土曜日曜は休みだからさ、スーツを取りに来やすいじゃん？それに金曜日に店を開けていてもあまり客来ないことが分かったし。

　後、私の店にはさっきの人たち見たいなガラの悪い人が一カ月に何人か来店する。特に地雷を踏まなければ銃を向けられることもないし、普通に優しい人たちばかり。

　でもねー、あの人たち気前良いから店にとっては良いんだけど、やっぱり警察に目ェ付けられてるからさ…。何度か私の店にも警察が押し寄せてきたことはある。その時は見つからない場所に銃を隠して知らんぷり。

　ヤクザの人たちが来るより警察の人たちが来る方が怖い、どちらかと言えば。

　お客さんとしてきてくれるなら大歓迎なんだけどね。

　「ふわぁ…、ってもう日ぃ跨いじゃったのか」

　後足の部分だけなんだよな…。裏地縫って…、もう片方とつなぎ合わせて…。

　「…ん、駄目だ！眠い！寝よう！」

　店と家は繋がってるからスタッフオンリーの部屋に入ってその奥にある廊下を進めばすぐに自分の部屋。

　私は部屋に戻ってご飯を食べずにそのままベッドに直行してしまった。まぁいいや、明日金曜だし。化粧取ってないけど…。

　おやすみなさい。

　二週間後…、

　今日は金曜日。でも第三金曜日だからおやすみじゃない。今店内には私の知り合いが来ている。

　「まーた細くなりましたねー、九井さん」

　白髪のロング、真っ赤なチャイナ服。九井一さん。

　「ちゃんと食べないと着られる服が少なくなっちゃいますよ？」

　この人の頭にある刺青と灰谷さんたちの首元にある刺青は多分一緒だと思う。花札の刺青。どっかで見たことあるんだけど何の組かは忘れちゃったんだよな。

九「反社は食べる暇なんてないんだよ」

　「もしかしてカロリーメイトとかエナジードリンクとかばかり食べてないですか？」

九「……」

　「食べてるんですね！わかってました！」

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