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ページ38

白橋SIDE

 「ハグ…と言った方が」

九「あ?マジで抱くんだよ」

 九井さんは他の人たちを無視して私の顎を掬った。…あ、これはマズイ。隙だらけだから避けられるし抜けられるけど…。

 私は右手で九井さんの顔を掴み、左手で腕を捻った。

 「少し焦りました。そういう行為は好きな人としないと意味はありませんよ」

マ「おい、勝手に何してんだ。ココ。コイツは俺のもんだ」

 「別に貴方のものでもないのですが…」

 私はマイキーさんからの拘束を解いて一番安全そうな鶴蝶さんに近寄っていった。イザナさんつながりでこの人のことを何気に一番知っているし。

 「私は愛されるような人間ではないのに…」

 誰にも聞こえない声で呟いたつもりだったけど鶴蝶さんには聞こえていたみたいだ。

鶴「そんなことはないだろ」

 「…!…どうでしょうね。私も一歩間違えれば貴方たち側の人間だったから」

鶴「どういうことだ?」

 「さぁ?」

 私の父親は反社と繋がっていたから。父親が私をその人たちに売っていたら私はそっち側の人間になっていたと思う。元々影響されやすい性格だし。

 「今が幸せなら…昔のことなんてどうでもいい。過去の私を捨てたから、今の新しい私がある。でも…やっぱり繋がりは切れないみたい、結局反社の人たちと関わることになってしまった」

鶴「…初めて敬語外れたな」

 「貴方に向けて発した言葉ではないので。ただの独り言だと思ってください」

 独り言にしては大きい声で話していたけどね。鶴蝶さんは私の言葉を無視してくれると思ってたのに、意外と人の話無視できないタイプなんだ。

 「ところで…、鶴蝶さんって何処に梵天の印があるんですか?三途さんは手首、灰谷さんたちは顎の下…、まぁ首ですね。そしてマイキーさんはうなじ、九井さんはこめかみの上」

鶴「俺はここにある」

 鎖骨の下辺りなんだね。刺青って入れるの痛くないのかな、手首も首も頭も全て骨に近い所だし。

マ「何二人で楽しそうに話してるんだ。お前は俺と話せ」

 「わっ…」

 後ろからマイキーさんに首を掴まれた。この人の隈は九井さんよりも濃いな、それに…細い。生気のない真っ黒な眼、私の濁ったこの薄茶色の眼と少し似てる。この人は本当の黒が似合う、スーツ仕立ててみたいかも。

 この人は何にも染まらない黒を持っている訳じゃない。…もう染まりきってしまった後だ。これ以上染まることもないし、この体の中にある黒が無くなることもない。

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シオン(プロフ) - suffron*さん» マイキー、落ち着いて〜〜 (2022年11月13日 17時) (レス) id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
suffron*(プロフ) - シオンさん» マイキーは夢主とイザナの関係を知りませんからね、一切 (2022年11月13日 17時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - ちょ〜〜マイキー、これはやばいよ。夢主のイザナみたいだと勘違いしてるぽいやぁ (2022年11月13日 17時) (レス) @page39 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - suffron*さん» 楽しみに待ってます!!! (2022年11月13日 16時) (レス) id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
suffron*(プロフ) - シオンさん» まぁ答えは次のお話で出てきますので〜 (2022年11月13日 16時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:suffron* | 作成日時:2022年11月2日 0時

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