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絡繰SIDE
呪力を探りながら生得領域を彷徨っていると何体かの死体が目に映った。…あれ、この名札。
「岡崎…正」
そういえば…、俺がここに入る前に一人女の人が蹲っていたな。…この人の母親か。…心配だよな、いくら犯罪をおかした人間と言えど自分の息子であることに変わりはない。
きっと、悠仁たちも見ている。優しい悠仁ならこの死体を母親に見せるだとか言ったんだろうなぁ…、でも恵辺りが止めた。
「残していった判断は正しいよ、こんな死体持って帰っても辛くなるだけだ」
だからって「ただ死んだ」だけじゃ駄目。じゃあどうするか。
「…何も言わないのがいいんだよ」
非術師は助けるべき生き物、でもその人の家族のことまで考える暇なんて俺たちにある訳がない。助けられる命は限りがある。
「俺たちはどう足掻いたって…」
全部の人間を助けることは無理なんだよ。
「ってわけで、こいつらは置いて行かないとね〜。こんなん持っていたって邪魔なだけだし」
担いでいたせいでこっちが死んだら元も子もないでしょ?だから置いていく、これが賢明だよ。他に方法なんてない。これでいい。
「次行くか」
…!
「悠仁のだけじゃない…、野薔薇の方も切れた。どこかに…落とされたか?」
…いや、まずは悠仁たちが最優先だ。
「キャシイ!見つけたか!」
「……!…!?」
「チッ…」
お…駄目だ駄目だ、怒っちゃ駄目だ。
「……仕方ない」
“おいで”
「…キャシイ、そっちは頼んだよ」
「……っ!!!」
俺は…こっち側からだな。
ずっと探し続けるのは体力を無駄にするだけだからできる限り避けたい、早く恵に会えたらいいんだけど。
「術式を展開したままこっちでも呪力を使うのは疲れんなぁ…」
…っ…!
「玉犬!?」
破壊されている…、この近くに呪霊がいたという証拠だ。…なら、近い。
“終わり”
「…やーっと見つけた。…恵、悠…じ」
手首から上が…ない…、あいつに飛ばされたのか?
恵が鵺を出してどこかに行った。多分野薔薇の所だろうけど。
「先生!?」
「選手交代。うん、ちゃんと止血していて偉い偉い。でも、少し待っててね」
俺は悠仁を下がらせ、呪霊の方を向いた。…のに、目の前にいた呪霊はいつの間にか後ろに回っていた。俺を狙っている訳じゃない、だから俺に対しての殺気を感じ取るのが遅れた。
「…っ、逃げろ!」
吹っ飛ばされた…っ。
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suffron*(プロフ) - 紫さん» わぁ〜!ありがとうございます! (2022年4月30日 0時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - 好きです!更新頑張ってください (2022年4月29日 23時) (レス) @page4 id: 45b1199f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年4月29日 15時