11 彼女ト組合襲来 ページ11
昨晩ーーーーーーー
「じゃあ、そう言う事で。また明日ね〜」
「はいはい、又明日」
部屋に二人の会話が響いて居た。
今朝ーーーーーーー
「久しぶりだなー、女の姿で外歩くの」
と言っても、��本当の姿��では無いけれど。今日の私はスプレーで金髪を黒髪に変えて、青い瞳はカラーコンタクトで赤に変えている。服も首輪を隠す為に詰襟にフリルのブラウスに紺のフレアスカートで、ぱっと見は私とは分からない・・・まあ、私を良く知っている人は別だけどね。
今日は昨日乱歩さんと話した通り、武装探偵社に来て居る。探偵社の有る古風なビルディングの裏口に廻って階段を登る。そして裏口・・・隠し扉だけど、から虹彩認証をパスして社内に入る。
「久しいねェ、荷風」
「与謝野さん、乱歩さん！」
扉の先の医務室には与謝野さんと乱歩さんが待ち構えて居た。つい嬉しくなって与謝野さんに抱き着く。与謝野さんは仕方がないねェ、と云う様に私の頭を撫でてくれた。
「抱き着いてくれるのは嬉しいけどねェ、余り時間も無いからさっさと済ませちまおうか」
「はーい」
ブラウスの袖を捲って腕を晒す。すると与謝野さんが採血用の針を出してきて、私の腕に刺して血を抜き始めた。
「細っこい腕だねェ、ちゃんと飯食ってるのかい？」
「食べてるよ」
昨日の晩御飯は牛丼特盛肉増し増しの汁だくだった。私は人一倍食べる方なので、一人暮らしなのにエンゲル指数がやばい事になって居る・・・今はポートマフィアからの医者としての給金と探偵社からの潜入捜査員としての給金の二つがあるから良いけど、どちらかが無くなったら大変不味い事になる。
ある程度ビーカーに私の血が溜まってくると、先程迄退屈そうに椅子に座って居た乱歩さんが立ち上がって不思議な色をしたボトルを何本か持って来た。
「ある程度抜いたら此れに移してね」
「へー、此れが噂の」
与謝野さんが物珍しそうにボトルを見る。確かに此れは態々用意して貰った特殊なボトルなので、普段目にする事は余り無いだろう。
『ガタガタッ！！ーーーーーーブォーーーン』
「何っ？！」
突然窓硝子が激しく揺れて、轟音が鳴り響いた。乱歩さんが締め切られて居るカーテンの隙間からチラリと外を覗いて、「来たか」と呟いた。
「与謝野さん、ボトルに有るだけ抜いた血を入れて、余った空ボトルと一緒に鞄に詰めて」
「分かったけど、何が来たってんだい？」
「敦に懸賞金７０億を掛けた犯人・・・組合だよ」
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作者名：天華 | 作成日時：2019年7月18日 21時
