武装探偵社のもう1人【文スト】 (ページ2)

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2 彼ト過去ノ時壱ページ2

『♪～～ ♪～～～』

『バチンッ』

目覚まし時計を黙らせる

「んーーッ、もう朝か」

ベッドから這い出て着替える

クローゼットから、黒いパンツとタートルネックを

取り出して身に付ける

「此れ、地味に暑いんだよなぁ」

タートルネックは暑いが、首を隠さないといけない

から仕方ない

「もう、あれから四年か」

僕の首に嵌って居るのは・・・鉄製の首輪だ

此れが嵌って居るのは、あの日からだ

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

四年前、太宰の情報を消した後

複数の足音が、僕の部屋の前で止まる

『バンッーーーーーーッ！！！！』

刹那、医務室の扉が吹き飛んだ

中に黒蜥蜴達が雪崩れ込んで来る

「水無月医師、ご同行頂きたいのだが？」

落ち着いた口調で広津さんが云う

此方に抵抗する気が無い事に気付いたのだろう

「分かりました」

僕は、閉じて居た眼を開き、両手を挙げて立ち上が

った

黒服達に囲まれて歩き出した僕に、銀ちゃんが短刀

を突き付け脇を歩く

「水無月先生、・・・如何して」

銀ちゃんが、聴き逃して仕舞いそうな程小さな声で

ぽつりと呟いた

「彼が友達だからだよ」

短刀を握る銀ちゃんの手に、一瞬力が籠る

其の後、銀ちゃんが話し掛けてくる事は無かった

四年前、首領執務室

「朔夜君、随分と早い帰還だったね。未だ鎮圧は後

処理の段階だった筈だけれど」

柔らかな話し方だが、首領の目は冷酷で、執務室は

異様な程の沈黙に包まれて居た

「いえ、何せ＂不思議な程＂後処理に時間が掛かっ

て居たものですから」

僕は、あくまでもにこやかに答える

首領が、此方を見つめる

「君は突然太宰君本人と彼に関する情報が消えた事

について、何か知って居るかい？」

分かりきった事を尋ねられる

僕はにこりと笑い、答えた

「知って居るも何も、首領の出された合理的最適解

の結果では有りませんか。邪魔な太宰幹部は消え、

消えられては困る僕に鎖をかける事が出来るのです

から」

首領が唇を歪めて嗤う

背筋に冷たい物が走り、ゾッとした

「朔夜君は想像力豊かで愉しいねぇ。私が如何して

太宰君程の頭脳の持ち主をわざわざ手離すと思った

のかい？そんな君に此れをプレゼントしよう」

渡されたのはーーーーーーーー鉄製の首輪だった