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どれだけ親しくても、
どれだけ長い時間過ごしてきても、
重要な話を持ち出すのには、
どこか勇気がいる。
この関係が、この絆が、
壊れてしまうのではないか、
崩れてしまうのではないか、
そんな考えが、頭を過ぎるから。
恐らく、あの人たちは、
そんなことを考えていたのだろう。
自分の発言で、誰かが、
傷つくことを知っているから。
誰かの傷つく姿を見て、
自分自身が、傷つくことを知っているから。
近すぎた距離、
長すぎた時間、
深くなってしまった絆、
だからこそ、慎重になってしまう。
くだらない話、
どうでもいい話、
ちょっとした悩み、
そんなものは、簡単に言葉にできるのに。
重要なことは、そう簡単に、
言葉にすることはできない。
それはきっと、ボクたちが、
お互いのことを大切にしすぎてしまったからなんだ。
……
再契約は、会社と自分の一対一で、
話を進めていくのが普通なんだと思う。
それでも、ボクたちは。
メンバー全員で、会社と話を進めていた。
話をすればするほど、
時間をかければかけるほど、
一人ひとりの考え方や価値観の違いが、
明らかになってくる。
欲が出てくれば、悩みだって出てくるはずだ。
ただ、……
どれだけ、欲が出てきても。
どれだけ、考え方や価値観が違っていても。
誰一人、捨てることが、
できなかったものがある。
この " 気持ち " だけは、メンバー全員が、
持っていたんだ。
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作者名：喫茶店。 | 作成日時：2023年2月24日 19時
