(新)邪神に憑かれるとかツイてねえ (ページ50)

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声ー終ページ50

「……ーブ…………ナワーブ！」

ハッと意識を取り戻すと、目の前にはこちらを心配そうに見つめる親友の姿があった。
笑い声が響く食堂の隅でぼんやりとしていたナワーブの向かい側で、親友が首を傾げる。

「大丈夫か？」
「……あぁ」

フードの下で暗い表情を浮かべ、冷えきってしまったスープを飲む。

あの後、DとBの事件はテレビで報道された。大学内でもチラホラと話題が上がっていたが、1週間も経たないうちに話題はあっという間に過ぎ去っていった。
親友もそのニュースを見ただろうに、「災難だったな」と苦笑してナワーブの肩を叩くだけだった。

「ナワーブ、あんま思い詰めんなよ。お前は何も悪くないんだしさ」
「あぁ……ありがとう」

こちらを気遣って声をかけてくれる親友に、ナワーブは力なく笑う。

「……ナワーブ・サベダー」

食堂の隅に座る背中に掛けられた小さな声は本人に届くことなく、雑踏の中に消えた。