(新)邪神に憑かれるとかツイてねえ (ページ47)

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声ー8 ページ47

(何より、あの目……)

夢の中でDが助けを求めてきたという話をした時の、Bの目。微笑みを浮かべていたものの、仄暗い感情を宿したかのようなどろりとした目を思い出し、ゾクリと鳥肌が立つ。
何故Dは、恋人のBではなくナワーブに助けを求めたのか。
本当に、あの二人はお互いを愛していたのか。
　
『愉快なことになりそうだな』

邪神の楽しげな声が、頭の中に響いた。

雲１つない満天の星空が広がる夜、ナワーブは森の入口に来ていた。近くに街灯もなく、真っ暗闇の中持ってきていた懐中電灯で地面を照らしながらBを待つが、約束した時間から５分経ってもBの姿は見えない。
バックレたか、と考え始めた時、スマホが震えた。見てみるとBからショートメッセージが届いている。
　
〝すまない、遅れそうだ。着いたら電話をするから先に行っててくれ″
　
その文面に、顔を顰める。
電柱もない広い森に電波が通っているとは到底思えないが、それを知った上で送ったのだろうか。

〝わかった″

短いメッセージを送り、ナワーブはシャベルを片手に森の中へと足を踏み入れた。
月明かりに照らされている森の中を黙々と歩く。Dがどこに埋められているのかは知らない。それでも、ナワーブの直感がこっちだと言っている。
草木を掻き分け、色とりどりな花が咲く中を進んで行く。
しばらく歩いていると、少し開けた場所に出た。足を止めて地面を見ると、一定の場所にだけ草が生えていない箇所がある。周りは雑草などが生い茂っているのに、そこだけ不自然に草が生えていなかった。