(新)邪神に憑かれるとかツイてねえ (ページ38)

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覆い隠すもの／生と死の女主人、またの名を…… ページ38

ドスッ、という鈍い音が響く。
次の瞬間、校舎内に響いたのは化け物の絶叫だった。
クラクラする意識の中、ナワーブは化け物へ目を向け、見開く。
化け物の額に、ツルハシが突き刺さっていた。

「いた、いいたい痛い痛いいたい痛い痛い痛いいたいッッッッ！！！」

苦悶する化け物の叫び声が響き渡り、地面が揺れる。
朦朧とする意識の中、軽やかな足音が聞こえた。ゆっくりと顔を向けると、少女がナワーブを見下ろしている。
黒い長髪を垂らし、幼い丸い目を向けてくる少女はどこかで会ったことがあるような気がした。
化け物の悲痛な悲鳴が響く中、少しずつ意識が遠ざかっていく。

「お休み、坊や」

意識が途切れる直前、聞いたことの無い女の声が聞こえた気がした。

「どうして、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして？」
「ここまで上手くいくとは思わなかったわ。よくやったわね」

どうして、と繰り返す化け物を無表情で見つめる少女。
その背後から、女の声が聞こえる。

「餌を好きに選んでいいと言えば、お前はこの坊やを選ぶだろうとは思っていたわ」

ずるり、ずるりと地面を這う音がする。

「お前には感謝しておかなきゃね」
「あ"、ｱﾞ、ｱﾞああa aァ」

女の口が徐々に裂け、大きく広がっていく。
化け物は後ずさり、奇声を上げながら逃げ出そうと動き出す。

「アレに借りを作らせたんだから」

しかし化け物の抵抗は虚しく、大きく開かれた口に飲み込まれた。