身体が驥阪＞ ページ4
気怠い身体を無理矢理動かし、大学へと向かった。
本当なら休みたいところだが、家では満足に休めないと思ったからである。
都会の街はいつも騒がしい。がやがや、と人で賑わう大通りをフードを目深く被り、俯きがちに歩いて行く。
ふと、ガラス張りされたカフェに目を向けた。
ガラスに反射する自分の背後に、ローブ姿の大柄な�牴燭�"が佇んでいる。
ただでさえ異様な出で立ちだというのに、隣を歩いて行く人々は誰もその存在に気づいていないようだった。
弾かれたように走り出す。
クスクス、と嘲り笑うような声が背後から聞こえた気がした。
「おう、ナワーブおはよ……ってどうしたその顔！？」
やっと辿り着いた大学の門前で息切れしているナワーブに声を掛けたのは、親友の一人だった。
ラグビー部に所属している彼はガタイが良く、中々に強面なのだが、その見た目とは裏腹に裏表のない明るい性格をしており、友人が多かった。
そんな彼は友達想いでもあり、顔が青白いナワーブを見て仰天する。
なんかあったのか、とオロオロしながら聞いてくる親友に苦笑を返し、何でもないと返した。
「なんでもないってお前……」
「いいんだ、気にしないでくれ」
頼む、と強く言いきられてしまえば、これ以上強くは聞けないと思ったのだろう。
なんかあったらちゃんと言えよ、と念を押してくる親友に礼を言って中へと入った。
結果的に言えば、その日の授業はろくに集中出来なかった。
集中しようにも、あの夢が、朝の出来事がどうしても脳裏を過り、内容が頭に入ってこない。
のろのろとマンションへ帰り、カバンをソファーに放り投げる。
今日は朝から疲れた。
早く寝てしまいたい。
あの夢を、出来事を一刻も早く忘れたかった。
テレビの電源を付け、カーテンを閉めようと窓へ向かう。
夕日が差し込む窓に手をかけた時、ふと後ろを振り返る。
夕日を背後にオレンジ色に照らされた部屋に伸びる影が、ローブの姿を
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作者名：モノクロ饅頭 | 作成日時：2023年11月4日 20時
