好奇心は…… ページ25
「おーおー。雰囲気出てんなぁ！」
「うっわ、マジオンボロじゃん。服汚れそ〜」
「変に気合い入れて高い服なんか来てくるからでしょ〜！」
「うっさいわね！」
「皆……まだ夕方だから、もう少し声のボリューム下げようよ」
夕方の住宅街の中に、甲高い声が響き渡る。
ついにこの日が来てしまった、とナワーブは重いため息をつく。
そんなナワーブに親友は申し訳なさそうに謝ってきた。
「わりぃな、付き合わせちまって」
「いや、俺がついてくって言ったんだから気にすんなよ」
それにしても、と家の前で騒いでいるS達をジト目で見やる。
おちゃらけ者のSに、Sによく引っ付いているMとRは夕方の住宅街の中だと言うにも関わらず、下品な笑い声を上げながら家の写真まで撮っている。
そんなS達に声のボリュームを下げるように注意をするEだが、気弱なためかその声は小さくS達には聞こえていないようだった。
人選が最悪である。この先の事を考えると頭が痛くなる一方だ。
「にしても、ホントに不気味だな……なんつーか、空気が重い？」
「間違っちゃいねぇな」
こえー、と家を見上げる親友。
ナワーブはあまり家を見上げたくはなかった。
二日前、二階の窓からこちらを見下ろす空洞の目を思い出し、身震いする。
「なあ」
「ん？」
「……二階に窓、あるだろ」
「んえ？あるけど……」
「……誰かいるか？」
「え、誰もいねぇけど」
「…………そうか」
「待って、ねえその間は何？怖いんですけど！？」
なんか居んのか！？と引っ付いてくる親友を暑苦しいと引き剥がす。
酷い！と親友が言ってくるが知ったことではない。それに力が篭もりすぎてて苦しいのだ。
「なあ、早く入ろうぜ」
「マジで入んの？」
「当たり前だろ」
「うわ、草ボーボー……虫いそうでやだ〜」
「……」
錆びた音を立てながら門が開く。
ギャイギャイと騒ぎながら入っていくS達の後ろに、ナワーブと親友は続く。
真上から感じる視線。また見られている。
(何も起こらずに終わって欲しいんだが……)
『望みは薄いな』
淡々と言葉を返してくるハスターに、だよなぁ。とナワーブはガックリと肩を落とした。
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作者名：モノクロ饅頭 | 作成日時：2023年11月4日 20時
