(新)邪神に憑かれるとかツイてねえ (ページ3)

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頭がいt 鬆ｭ縺檎李縺ページ3

冷や汗と脂汗が混じり、額を伝って頬へと流れ、やがて首筋を流れた。
 ひゅー、ひゅー、とか細い呼吸を繰り返し、カタカタと震える身体を己の腕でしっかりと抱き締めた。  
頭が痛い。  
時計を見ると、普段起きる時間より一時間も早い。
いつもならこのまま二度寝を決めるところだが、もうそんな気分ではなかった。 汗でベタつく寝間着を脱ぎ捨て、ベッドから降りる。 ズキズキと痛む頭に顔を顰め、とりあえず汗で濡れた寝間着を洗おうと洗面所へ向かった。

  ゴウンゴウン、と煩い音を立てながら動く洗濯機をぼんやりと見つめる。
頭がどこか霞み掛かったように感じて、気分を変えようと棚からタオルを取り出す。 
蛇口を捻って冷たい水を出し、手で掬って顔に掛ける。それを何度か繰り返していると、段々と思考がスッキリし始めた。もう良いだろうと顔を上げる。

   鏡に映る自分の背後で、ローブの向こうの暗闇から真っ赤な目が覗いている。   凄まじい速さで振り返るが、そこには誰もいない。恐る恐る、もう一度鏡に目を向けても、そこには何も映っていなかった。  

「…………うそだろ」  

ズルズルとその場にしゃがみこむ。
もう頭は混乱しっぱなしだ。
やっと落ち着いてきていた身体の震えが激しさを増す。 ぎゅう、とタオルを力強く握り締める。
 桑染(くわぞめ)色のローブに包まれた肩幅の広い、およそ人とは言えぬ形の身体。本来なら顔があるべきそこに顔は無く、一寸の光も無い暗闇が蠢いている。そこに、光の代わりのように目が埋め込まれていた。二つではない、いくつも。 
真っ赤な血の色をした手は大きく、枯れ木のようにふしくれだっている。  

ナワーブはその存在を知っていた。 
いや、覚えていると言ったほうが正しいか。 
あの頃、エウリュディケ荘園と呼ばれた場所で、生き死にを賭けたゲームで何度も出会った。  

「嘘だって言ってくれ……」

膝を抱え込むように  蹲り、か細い声で呟くナワーブの言葉を掻き消すように、洗濯機が仕事を終えたと鳴り出した。