わわたたtたたししののnoののののこkoこここととt ページ14
家に戻ってから、常に気を張っていた。
夕食を作る時も、風呂に入っている時も。
油断してはダメだと思った。少しでも気を抜けば、アレが来るかもしれない。
あぁ、こんな時に限って、あの邪神は姿も現さなければ声も聞こえやしない。
(もしかしたら、全部夢なのかもしれない)
自分は事故にでもあって、今は気を失って長い夢を見ているのかもしれないと大袈裟なことを考える。そうでもしないとやってられないのだ。
ここ数日で、精神的に大分追いやられてきている。
今日はもう早く寝よう。
ベッドに飛び込み、傍らにあったふかふかな猫のぬいぐるみを抱き締め、部屋の電気をリモコンで消した。
ずる。
ずる、ずる。
ずるり、ずる、ずり―……。
「わた shi ノこto ミえ て ルn でシょ ？」
「っ……！！」
苦しい。
息ができない。
何かに、首を、締められている。
目を見開くと、目の前に血だらけの女の顔があった。
にちゃり、と気色の悪い笑みを浮かべたその口からは、血が滴っている。
本来なら、目のある所に目がなかった。
真っ黒な窪みが、ナワーブを見下ろしている。
「ぁ、っひゅ……！」
「わわわわたたたたたししのののこととととと、み、ええ、え、て、てる、るるるる」
まるでバグを起こしたかのように、カクカクと高速で首を動かす女。
あまりにもおぞましく、あまりにも恐ろしい。
抵抗しようにも、身体が縛り付けられているかのように動かない。
首を絞める力は、どんどん強くなっていく。
閉じきらない口から涎が流れ、目尻からは涙が浮かぶ。
嫌だ、誰か、助けて。
言葉にならない言葉を叫ぶ。
意識が霞んできたナワーブの目が、ゆっくりと閉じられていく。
ずるり。
頭の中で、粘着質な音が聞こえた。
見える、いや、浮かぶ。
紫色の触手が、持ち主が、深淵が、赤い瞳が。
「った、けて……は……っす、た……」
途切れ途切れに、その名を呼んだ。
あの邪神の名を。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モノクロ饅頭 | 作成日時：2023年11月4日 20時
