鶴の照れ隠し。【鶴房汐恩】

《３８》 ページ38

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あれからしばらくして、
私たちは閉会式のために体育館に向かった。


閉会式には衣装ショー…PRタイムがある。



私と汐恩が強制参加させられたアレ。





このPRも含めて投票となり、
衣装賞、出し物賞、そして文化祭大賞が決められるわけで。





「これに出ればハーゲンダッツ…！」

鶴房「決めポーズどうする？」

「適当にピースしとけばいいんじゃない？」

鶴房「うちのクラスの文化祭委員キレるで」

「でもあんま張り切ったのやっても
このあとダンス部の発表もあるじゃん」

鶴房「俺の体力舐めすぎやろ」





まぁ適当にぶりっ子して適当にかっこつけようよ、

と提案すれば


せやなぁ、と遠くを見る目。



さては人の話聞いてないなぁ鶴房くん？







生徒「それでは、クラス代表による衣装ショーです！
みなさん盛り上がっていきましょう！」




そんなこんなでアナウンスがかかると
盛大な音楽が体育館に響き渡った。


リハーサル通り三年生からなので
順番はまだまだな様子。



先輩方はキレッキレに決めポーズをしていた。









そして、いよいよ私達の番。






「手繋いどく？」

鶴房「嫌やわ見せもんちゃうし」

「見世物でしょこれは」

鶴房「そうじゃなくて…あー、」






一度は拒絶されたものの、
音楽が止まらないので乱暴に手を引かれる。



もう少し丁寧に扱え？と不満を込めて睨むけど、
汐恩の耳の裏が赤いのがはっきり見えてしまった。






「照れてる？」

鶴房「だまれ」

「こんなピュアな狼居ていいの？」

鶴房「だまれ」




そのままずんずんと進んでいく。


レッドカーペットの先頭で
決めポーズをしなければいけないのだけれど、

さてどうしたものか。




ここは彼の様子を伺ってみることにする。





汐恩は仁王立ちで立ち止まり、
唇を噛んで足下を見つめた。



それから、私の方をちらりと見て、

なんの躊躇いもなく握っていた手を引き寄せてくる。







「っ！」




不意をつかれた私はそのまま胸元へ。



背後に回る腕にぎゅっと抱きしめられ、
同時に体育館には黄色い歓声が溢れた。





鶴房「…はぁ。嫌やわ」

「え？」

鶴房「俺、独占欲強いかもしれへん」





耳元でぽそっと呟く。







ゆっくり離れたあと、


見えた顔は不満100%で、









鶴房「ほんまは、誰にも見せたくない」


「……！」









でも赤ずきんに負けないくらい、



真っ赤な顔をした狼。









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