【JO1】愛 情 の 裏 返 し 【男主】

「 迷子 」* kawanishi ページ34

.




佐藤「おちび〜♪」




一人で雑誌を読みながらくつろいでいると、
ご機嫌な様子の景瑚がノックをしながら入ってきた。


景瑚の言う“おちび”はAのこと。





川西「Aは俺の部屋に来てないよ」

佐藤「ありゃ」

川西「まめとか汐恩の部屋じゃない？」

佐藤「いや行ってみたけど居なくってさぁ」

川西「そしたら…蓮くん？」

佐藤「蓮くんはAを部屋に入れないっしょ」

川西「……確かに」





そうなると何処だろう。


景瑚いわく連絡もしてみたらしいが
反応が返ってこないらしい。



今日は仕事がなく、昼間に練習を
みっちりこなしたので夕方から自由時間になっている。


各々買い物に出かけたりゲームしたりしているみたいで、
景瑚はAを連れて出掛けたかったらしい。




佐藤「んーどこ行ったんだろ」

川西「そのうち帰ってくるでしょ」

佐藤「んふっ、それ野良猫じゃん」

川西「野良猫っていうかハムスター？」

佐藤「わかる」




にしてもこういう自由時間に
誰のところにも行っていないのは
Aにしては珍しい。


しょっちゅう誰かのもとへ絡みに行っては
ゲームをしたりお喋りをしているイメージがあった。






結成当初こそは壁があり
自室でじっとしていたようだけど。





川西「もしかして景瑚と出掛けるの嫌だったんじゃない？」

佐藤「それはないね」

川西「言い切るじゃん」

佐藤「だってAは俺のこと大好きだから」

川西「……」





自信満々ににやりと笑う景瑚。


その笑い方がAにそっくりで
そりゃ仲良しだわなと納得してしまうほど。







ふとその時、景瑚のスマホに着信が入った。


探している野良猫…ハムスターの名前を呟き応答する。







佐藤「もしもし？今なにしてるん？」





会話の内容は聞こえてこない。



まぁ解決するんだろうなと見切りをつけて
雑誌のページを捲ったその時、


景瑚の拍子抜けしたような声がした。




珍しい、と振り返ると呆然とした彼が
口を開けたままゆっくりこちらを向く。






川西「え、なに？」

佐藤「Aが…」

川西「うん？」

佐藤「なんか、崖から落ちたらしくて」

川西「え」

佐藤「帰れなくなってるらしい…」









さすがの俺も、

開いた口が塞がらなくなってしまった。









.

* satoh→← * mamehara

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す