10話 ページ10
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ほんのりとアルコールが回ってきて、
気分がとてもいい。
お店に来てから1時間は経っただろうか。
生ハムを頬張りながら
じっとりとした目で睨まれたのに気づいたのは
ちょうどその時だった。
「なにぃ？」
「その1杯飲み終わってないのに
潰れんといてくれる？」
「潰れてないわ！
アルコールが回ってきてふわふわしてるの〜」
「水飲み」
「んもー。拓実はほんとに彼氏力高いなぁ」
「…誰と比べとんねん」
「比べてないよっ！ちゃんと本心だよ？！」
「あーもーわかったから」
いつの間にか手配されていたお水は
ほんのりとレモン風味で喉通りが気持ちいい。
お水ですらいい気分になってしまいそうだ。
ふと目があった拓実がなにやら呆れた顔で
自分の口元を指差してる。
どこかあざとさが見えるのは
有名人オーラ故なのか。
しかしその指は今度は私の方に向けられる。
「口のとこにご飯ついてるで」
「ありゃ」
「そっちじゃなくて、…はぁ」
ふいに拓実が腕を伸ばしてきたかと思うと、
私の口端に指を置いた。
そのままゆっくりと拭う。
呆れてるのに優しさの滲む視線が
どうにも落ち着かない。
…ゆ、有名人って、すごいな。
「取れた」
「あっ、アリガトッ」
「いい年なんだからしっかりしなさいよ。
せやないといつか逃げられるで、彼氏に」
「あー…」
「……？」
「現在進行系、かも」
「は？え、どういうこと？」
「いや、確信してるわけじゃないんだけどさ。
あの会社に彼氏いるんだけどね。
なんか知らない女の子と肩組んで帰ってくのを
見かけたよーな、見間違いのよーな…」
しどろもどろな説明にどんどん
顔を険しくさせる拓実。
飲みかけのジョッキをテーブルに置くと
小さな声で「なんかごめん」と謝罪する。
「いやいや！拓実が謝ることじゃないじゃん！
まだ浮気って決まったわけじゃないし、うん！」
「あ、うん。せやな」
「ていうかむしろ拓実が居てくれてよかったよ〜。
ちょっと混乱しちゃってたから、ね。うん」
「…うん」
「……」
浮気という確信は無い。
でも、浮気じゃないという確信も、無い。
やっぱり肩を組むなんて距離感がおかしいよなぁ。
……そーだよなぁ。
ちびちびとレモン水を喉に通す。
妙に酸っぱくて、泣きそうになってしまった。
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Shiu(プロフ) - 緑さん» いつも読んでくださり、そしてコメントありがとうございます！そう言ってもらえてとても励みになります…(T_T)このお話も最後まで頑張って書いていきますので、ぜひ見届けてもらえたら嬉しいです(*´∀｀*)次回作ももちろん全力で頑張ります！ (2021年6月9日 23時) (
レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - nanakoさん» コメントありがとうございます！ぜひこのお話のラストも見届けていただけたら嬉しいです(*´∀｀*) (2021年6月9日 23時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
緑(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！学園もの全然アリやとおもいます！アリっていうかもはや読みたいです（笑）完結と新作楽しみにしてます！！ (2021年6月8日 23時) (レス) id: 70fd815c99 (このIDを非表示/違反報告)
nanako(プロフ) - 好きなお話でした。楽しかったです。鶴房くんのやめたら嬉しいです。 (2021年6月8日 21時) (レス) id: 739857a84a (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ちいたんさん» ひゃーー！ありがとうございます！！めちゃくちゃがんばります(*´∀｀*) (2021年6月7日 12時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiu
| 作成日時：2021年4月12日 22時
