22話 ページ22
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さっきまでメンバーの人たちと
はしゃいでいた拓実が
ものすごい怖い顔で立っていた。
無表情で、何を考えているかわからない。
遠くの方のメンバーさんたちが
心配そうに私達を見守ってるようだった。
「なにって、拓実の話だけど？」
「ちょっ、佐藤さん！そこ言います？！」
「景瑚くんには話せて、俺には話さないことなん？」
「いやまぁ…そりゃ、ね？」
「………なんなん、それ、」
吐き捨てるような言葉。
鼻で笑って目線を逸して、
何かを諦めるような顔。
どうして拓実をそんな表情にさせて
しまったのかわからない。
たまに見る。
何かを諦める顔。
さすがに今の拓実の様子に
佐藤さんも焦っているのか、
すかさずフォローに回ってくれた。
「俺が聞いたんだよ色々。
別にやましいこととか無いから」
「やましいことないなら言えるやろ」
「拓実…？」
「悪かったって。勝手にAさんに話しかけて。
そんな不貞腐れないでよ」
「別にそんなんとちゃうし」
「あ、ごめん、もしかして佐藤さんに
用があったとか？」
「……」
途端に黙り込む拓実。
ビンゴだ…。
メンバーとしての時間も大事だろうに
私が佐藤さんを独占してしまったから、
拓実は怒ってしまっている。
正直そこまで怒らなくてもいいじゃんって
思うけど、JO1なりのルールとか
けじめがあるのなら私が好き勝手言えることじゃないし。
「ごめんって！佐藤さん返すから！」
「ちょ、Aさん」
「だからもう機嫌直し、っ？！」
佐藤さんの手首を掴んで差し出すように
拓実へ向ければ、
掴まれたのは私の手首。
しっかり握られ、そのままスタジオの外、
エレベーターホールの方へ歩き出す。
外に出る直前、かろうじて振り返ると
なぜか手のひらを合わせて謝るような
ポーズをしている佐藤さんが見えた。
.
誰もいない廊下は質素なソファーやら
観葉植物やらが置かれているだけで
壁も天井もシンプルで、どちらかといえば質素。
レストルームの前辺りでようやく
拓実は止まってくれた。
しかしこちらを向かず背を向けたまま。
「あの…ごめん、そんな怒らせるつもりはなくて」
「…怒ってない」
「怒ってるよ…」
人が誰もいない廊下は、
少しの靴音も端まで響いてしまいそうで。
私は息を呑んだまま、
言葉を発せずにいた。
何かを話したら、
何かが壊れてしまいそうな、
そんな気がして。
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Shiu(プロフ) - 緑さん» いつも読んでくださり、そしてコメントありがとうございます！そう言ってもらえてとても励みになります…(T_T)このお話も最後まで頑張って書いていきますので、ぜひ見届けてもらえたら嬉しいです(*´∀｀*)次回作ももちろん全力で頑張ります！ (2021年6月9日 23時) (
レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - nanakoさん» コメントありがとうございます！ぜひこのお話のラストも見届けていただけたら嬉しいです(*´∀｀*) (2021年6月9日 23時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
緑(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！学園もの全然アリやとおもいます！アリっていうかもはや読みたいです（笑）完結と新作楽しみにしてます！！ (2021年6月8日 23時) (レス) id: 70fd815c99 (このIDを非表示/違反報告)
nanako(プロフ) - 好きなお話でした。楽しかったです。鶴房くんのやめたら嬉しいです。 (2021年6月8日 21時) (レス) id: 739857a84a (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ちいたんさん» ひゃーー！ありがとうございます！！めちゃくちゃがんばります(*´∀｀*) (2021年6月7日 12時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiu
| 作成日時：2021年4月12日 22時
