可愛い幼馴染はもういません。【川西拓実】

21話 ページ21

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「撮影は以上になりまーす！
最終チェック終わり次第終了でーす！」




スタッフさんの掛け声で
JO1の方々はスタジオの隅にあるスペースで
ゆっくりしてもらうことに。


最終チェックは企画担当の方々に
見てもらうので私は手持ち無沙汰。





「Aさーん！」




嬉々とした声にドキリとしてしまう。



しかし無視するわけにはいかないので
恐る恐る振り返ると、

手を振りながら私の方へ寄ってくる佐藤さんが。


…拓実はどうやらスペースに残ってるみたい。




「佐藤さん、お疲れ様です」

「俺かっこよかった？」

「バチバチにイケメンでした」

「拓実とどっちのほうが？」

「エッ」

「んははっ！素で困らないでよ〜！」

「ちがっ、いやっ、どっちもかっこいいですよ！
佐藤さんは大人危ないお兄さん系、
拓実は、…えとっお、雄？な感じのッ」

「ふふふ。ありがとうございます。
Aさんってほんと面白いですねぇ」

「佐藤さんの『面白い』って
あんまいい意味じゃない気がする」

「酷いな〜」





完全に弄ばれている。


悔しいけど、このペースを巻き込むのが
上手な佐藤さんが相手だから仕方ない。




「拓実と何かありました？」

「へっ？！な、なんでっ、」

「あ、なんかあったんだ」

「……」

「告られたりしたんですか？」

「いや、そうじゃなくて……その、」

「？」





ちょっとだけJO1さんたちが
ゆっくりしてるスペースの方を確認する。


拓実はメンバーの人たちと
今日撮った写真の見ているみたいだ。




できるだけ周りの人に聞こえないよう
佐藤さんの方に少し寄って耳打ちする。





「私が、やばいです」

「Aさんが？どうして？」

「……い、今さら、ドキドキしてきたといいますか。
あ、拓実も男の人だなー、と意識してしまった
といいますか…」

「好きになっちゃったんだ」

「ングッ、もっと遠慮して言葉言ってくれません？！」

「でもそうなんでしょ？」





ニヤニヤと見下ろしてくる佐藤さん。


この人…苦手だ。

いい人であることは確かなんだろうけど。





「何か迷うことある？告っちゃいなよ」

「いや無理でしょう。
だって有名人だし、幼馴染だし」

「えーあんなにわかりやすいのに
思わせぶりにして放置するの？
Aさんって鬼畜だねぇ」

「…佐藤さんならどうするんですか」

「俺なら付き合」







不意にその時、


とても重く低い声がした。









「何話してんの」






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