9話 ページ9
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女子「ねぇ乙守さん!」
ある日の休み時間。
御手洗に行こうと廊下に出たところで
不意に知らない女の子に呼び止められた。
流行りのメイクを網羅したような可愛い顔立ちの子。
ネクタイの色が一緒なので同じ学年の子だ。
「なに?」
女子「乙守さんって白岩先輩と川西くんと仲良いよね!」
「まぁ…」
この手の話題は随分慣れたものだ。
恐らく恋人になるまでのアシストをして欲しいのだろう。
女子「今度さ、4人で出掛けない?」
「あー…どうだろ、人見知りの2人だから…」
女子「そこを乙守さんがどうにかしてよ!」
なんて無茶ぶりだ。
瑠姫くんはともかく川西が全力で断る未来が見える。
「んと…多分断られると思うけど良い?」
ささら「んもう、いいけど!
あ、『ササラ』の名前出してね?たぶん喜んでくれる!」
「ささらさん…」
ささら「あはっ、呼び捨てでいいよぉ!」
じゃ、よろしく♡
可愛くウィンクをして去っていくささら…さん。
慣れた話題だったがここまで押しが強い誘いは初めてだな…。
というか、ほとんどの場合「人見知りだから」を伝えると
何となく察して諦めるか、自分で聞きに行ってくれるのに…。
ささらさんって、有名なのかな。
川西「あー保健委員の人やろ?」
先程の話題をさっそく聞いてみると
予想外に川西は頷いた。
川西「俺も保健委員で一緒やから」
「よく話す?」
川西「えっ、ま、まぁ?ぼちぼち?」
「そうだったんだ。
ささらさんが私たちと遊びたいって言ってて」
川西「……」
得意気になったかと思うと不機嫌そうに目を細める川西。
相変わらずコロコロ変わる豊かな表情だ。
川西「そういうことなんかい…」
「え?」
川西「遊ばへんよ、わかるやろ。これだけ一緒におんねんやから」
「そうだけど…結構押しが強い子だから…」
むすっ、と口を固く結んだ川西は
これ以上聞かない意志を見せるようにふて寝してしまった。
参ったな…こんなに怒らせるつもりはなかったのに。
「ごめん川西…なんというか、仲良いのかなって思って…」
川西「……」
「…その、ごめんね?」
のそり、と顔を上げる川西。
相変わらず不機嫌な目をしていたけど
暫く見つめ合えば「もう怒ってない」と伝えてくれた。
ほっとしたのもつかの間、
「いちごオレ買ってくれたらな!」の言葉に
今度はこちらが肩を落とす番となってしまった。
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A(プロフ) - はい!暑さもまだ続きますし無理せず生活なさってください! (8月30日 6時) (レス) id: 25cd72813f (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - Aさん» はじめまして!お返事が遅くなり申し訳ありません…!温かいコメントありがとうございます( *´艸`)かなり不定期更新ですが、これからちょくちょくお話書けるようがんばります!とても励みになります、ありがとうございます!! (8月29日 22時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 初めまして!お話とても面白いです!続きがとても気になります。お時間があれば書いて欲しいです! (8月8日 13時) (レス) @page9 id: 25cd72813f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiu | 作成日時:2023年5月17日 18時