7話 ページ7
.
お昼休み。
いつもならお弁当を用意してきているけれど、
朝寝坊してしまったので購買にやってきた。
ちょっとだけ寝坊してしまったから、しかたない。
ちょっとだけ。
白岩「あ、Aさん」
長蛇の列の後ろにくっついて並ぶと、
列の隙間から振り返った男子生徒に手を振られた。
瑠姫くんはわざわざ列をぬけて私の隣に並ぶ。
白岩「やー購買すごい人気だね。びっくりした」
「運動部がこぞって買いに来るからね」
白岩「前の高校は購買じゃなくて食堂だったからなぁ」
「残念？」
白岩「いや、新鮮！」
そんなやり取りをしていると列に並ぶ女子が
落ち着かない様子でこちらを振り返ってくるのが目立ち始める。
瑠姫くんは人気者だなぁ。
川西も同じようによく人目を引くので
この感覚には慣れているけれど。
白岩「そういえばAさんって川西以外に友達いないの？」
「聞いていいことと悪いことがあるって知らないの？」
白岩「いいかなって！」
わははっ、と予想外に無邪気に笑う瑠姫くん。
いい性格をしておられる。
「…まぁ、気軽に話せるのは川西くらいかな」
白岩「おぉ〜」
「何その反応…」
白岩「人見知りの拓実があんなに心開いてるの新鮮だからさぁ。
やっぱAさんが特別なんだな〜って」
「はは、ちがうよ。ただの幼なじみだし、
それに私は女子っぽくないからね」
白岩「ひねくれ者！」
「本当のことだし」
もしも私がみんなみたいに「可愛い女の子」だったら
川西は今みたいに心を開いてはくれないだろう。
彼ほど気の知れた友人は他にいないので
「もしも」を考えるとゾッとする。
「そういう瑠姫くんこそおひとりじゃん」
白岩「年上だぞ俺」
「図星っすか先輩」
白岩「うはっ、覚えとけよ〜！」
そんなふうに軽いやり取りを繰り返していると、
ようやく私たちの順番が回ってきた。
あんなに長い列を待っていたのにパンはまだたくさん残っている。
白岩「あれ、Aさんって甘いの好きなの？」
「うん。意外？」
白岩「ちょっとね」
可愛いじゃん、なんてさらりと言う瑠姫くん。
私じゃなかったら今頃世の女の子たちは
失神していただろう。
天然タラシめ。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 420人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
A(プロフ) - はい！暑さもまだ続きますし無理せず生活なさってください！ (8月30日 6時) (
レス) id: 25cd72813f (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - Aさん» はじめまして！お返事が遅くなり申し訳ありません…！温かいコメントありがとうございます( *´艸｀)かなり不定期更新ですが、これからちょくちょくお話書けるようがんばります！とても励みになります、ありがとうございます！！ (8月29日 22時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 初めまして！お話とても面白いです！続きがとても気になります。お時間があれば書いて欲しいです！ (8月8日 13時) (レス) @page9 id: 25cd72813f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Shiu
| 作成日時：2023年5月17日 18時
