30話-his.story- ページ30
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約1年半ぶりの母国はまだ夏の暑さの余韻が残っていた。
駅から出ると昼の日が容赦なく照らし
コンクリートが反射して少し眩しい。
帽子の影に頼りつつ周りを見渡していると
待ち合わせをしている彼女を直ぐに見つけた。
どうやら、お困り中の様子。
恐らく空港の広さと標識の多さに困惑しているのだろう。
「ここでいいのかな…」と彼女の口が微かに動くのが見えた。
そうこうしてるうちに1人の外国人が様子を伺うように近づく。
道に迷ってる様子、ではない。
見守るのもここまでかな。
俺は旅行客に先を越されないよう大股で近寄った。
川尻「待ち合わせ場所の看板はここで合っとるよ」
「…っ！？ れ、蓮くん…っ！」
必死に凝視していたスマホを覗き込むと
よく見るマップのアプリが開かれている。
施設内では役に立たないと思うなぁ…。
背後から接近していた外国人はもうどこにも見えない。
ふと、熱烈な視線を感じて目の前の彼女に視線を戻す。
俺の名前を呼んだまま固まってしまってるようだ。
1年半振りのAちゃんは相変わらずなようで。
｢蓮くんだ…｣
川尻｢はぁい、蓮くんですよ〜｣
｢本物…？｣
川尻｢確認してみる？｣
キャリーケースから手を離して
そのまま腕を思い切り広げてあげる。
Aちゃんは緊張してるのか、ぁ、う、とか
よく分からない言葉を呟いたまま。
けど、｢おいで｣って呼びかければ
そっと胸元に近づいてくる。
暑さなんて関係ない。
自分の存在を教えてあげるように、
彼女の温もりを確認するように。
｢くるしい…｣
川尻｢ふふ、本物やけん。当たり前よ｣
｢…蓮くん、だ…っ｣
川尻｢なぁに？泣いとるん？｣
｢ぅぅぅ〜っ…｣
両手でほっぺを包んであげる。
すべすべで柔らかいほっぺがびしょびしょだ。
拭えば拭うほど、子供みたいに泣くAちゃん。
川尻｢この前の電話では『絶対泣かない』って
豪語しとったのはどこの子やったかなぁ？｣
｢ぅぅ〜蓮くん〜ッ｣
川尻｢ふはっ、泣きすぎよ〜！｣
1年半。
俺は日本に戻ってきた。
海外での活動が落ち着いたのと、
新しく日本で始まるダンスグループに募集が掛かったからである。
それと、もう1つ。
本当はもう少し早くやりたかったこと。
……それは、この子が泣き止んでからになりそうだ。
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Shiu(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます！お返事が遅くなってしまってすいません…！最近ようやく私生活が落ち着き、他作品から完結に向けてお話を進めています。こちらのお話もきちんとした形に終わるよう更新する所存です、もし良ければお待ちいただけると幸いです…！ (4月10日 21時) (
レス) @page29 id: de23370fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 感情移入して泣きそうになりました…更新楽しみにしてます… (10月1日 3時) (レス) @page29 id: 69b32d86ae (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ななしさん» こんばんは！暖かくやさしいコメントをありがとうございます…！終盤直前で停止させてしまってすいません(；-；)完結させたい気持ちはとてもあります！また楽しく読んでいただけるようがんばります!!励みになりました、ありがとうございます！ (6月21日 19時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - コメント失礼します。主人公の性格も蓮くんも人間らしくて素敵で、読んでいて落ち着く(表現変かもしれません)お話でした⋯！更新まったり楽しみにしています✨ (2022年6月20日 15時) (レス) @page29 id: 791bab0b0f (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ^^さん» コメントありがとうございます！数少ない小説の中から見つけて下さりありがとうございます(*´-`*)妄想空想こじらせた小説ですが、実際の蓮くんはもっとかっこよくて魅力的な方です…！ぜひ堕ちましょう💓💞更新頑張ります！ (2022年6月9日 5時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiu
| 作成日時：2021年9月8日 2時
