27話 ページ27
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目から溢れるものが零れるよりも、
蓮くんの反応の方がずっと早かった。
抱きしめられた体が勢いよく剥がされる。
視界には焦ったような、怒ったような顔の蓮くん。
……知らなかった、こんな表情するんだ。
川尻「待って。振るって？なに？」
肩に置かれた手に力が入り、我に返る。
周りには人の気配は全くなくて
遠くからダンス部の音楽が途切れ途切れに聞こえるくらい。
視界の隅に映る夕日が差し込む窓辺は
少女漫画実写映画にはもってこいの雰囲気だ。
私は蓮くんの目をしっかり見ることができなくて、
咄嗟に視線を切る。
まるで追い詰められた犯人みたい。
クライマックスにはぴったりだけど、
少女漫画なんて私には到底似合わないんだろうな。
「だ、だって…アメリカ行くんでしょう？」
川尻「それは…」
「だから、私と別れ話するつもりで…」
川尻「？！ ちがう！」
「何が違うん？！みっちゃんには話せて私には話せないって…！
別れ話以外に何があるん？ないやろ！」
川尻「、っ……Aちゃん…」
「別れ切り出されてもごねたりせぇへんし！
蓮くんおらんくても私平気やもんっ！」
ダムが崩壊したかのように口からこぼれる言葉は
どれもこれも嘘ばっかりだ。
溢れる涙が正常な判断の邪魔をしてるみたい。
私こんなキャラじゃないのに、って思ったら
むしろ笑えてきてしまった。
蓮くんといると、自分でも知らない自分ばかり見つけてしまう。
こんなに虚しさに弱いなんて、初めて知ったよ。
蓮くんの手が、遠慮がちに動くのが見えた。
咄嗟に顔を背けるも彼に名前を呼ぼれてしまっては、
体が言うことを聞かなくなってしまう。
川尻「…Aちゃん」
「……っなんですか」
川尻「不安にさせてごめんね。
でも、俺はAちゃんと別れようなんて
1度も考えたことないんよ」
おそるおそる、視線をあげる。
ぎこちなく交わった視線の先で、
蓮くんは困ったように微笑んでいた。
手の甲で目の周りを拭って、「ほんと？」と聞けば
「ほんとよ」とはにかむ。
だから「ごめん」と謝る私を
「謝るのは俺の方｣って引き寄せてくれた。
両手を包んでくれる蓮くんの手は
大きくて、綺麗で、優しい。
蓮くんは私の顔をじぃっと覗き込んで、
それから暖かく笑って。
愛しさが溢れるその笑顔に
なんだかまた泣きそうになってしまった。
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Shiu(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます！お返事が遅くなってしまってすいません…！最近ようやく私生活が落ち着き、他作品から完結に向けてお話を進めています。こちらのお話もきちんとした形に終わるよう更新する所存です、もし良ければお待ちいただけると幸いです…！ (4月10日 21時) (
レス) @page29 id: de23370fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 感情移入して泣きそうになりました…更新楽しみにしてます… (10月1日 3時) (レス) @page29 id: 69b32d86ae (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ななしさん» こんばんは！暖かくやさしいコメントをありがとうございます…！終盤直前で停止させてしまってすいません(；-；)完結させたい気持ちはとてもあります！また楽しく読んでいただけるようがんばります!!励みになりました、ありがとうございます！ (6月21日 19時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - コメント失礼します。主人公の性格も蓮くんも人間らしくて素敵で、読んでいて落ち着く(表現変かもしれません)お話でした⋯！更新まったり楽しみにしています✨ (2022年6月20日 15時) (レス) @page29 id: 791bab0b0f (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ^^さん» コメントありがとうございます！数少ない小説の中から見つけて下さりありがとうございます(*´-`*)妄想空想こじらせた小説ですが、実際の蓮くんはもっとかっこよくて魅力的な方です…！ぜひ堕ちましょう💓💞更新頑張ります！ (2022年6月9日 5時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiu
| 作成日時：2021年9月8日 2時
