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 A 視点


伏黒
「 " 脱兎 " 」


A
「 げ、 」


 恵のつくった兎の影絵から白い兎が
 ぴょんぴょんと飛び出してきた。


A
( 確か特定の一匹を倒せば、二度と顕現はできないって聞いたな… )


A
( ま、手合わせだからそこまではしないけど、 )


 ただ、四方八方を兎が囲み、
 視界が(ひら)けるのを邪魔される。


A
( …どこから三人の攻撃がくるか分かんないね… )





A
( ___ 普通の術師ならば。 )





A
「 ごめんねー、兎ちゃんたち。 」

 
 吹っ飛ばすのを悪く思いながら鞘で兎の檻の一部を壊していく。


A
「 …ち、 」


 頬のすれすれで釘が飛んでくる。


虎杖
「 うらっ! 」


A
「 ! ( あぶね、 ) 」


A
「 良いねぇ… 」


 カン、と野薔薇が釘を打つ音が聞こえ、
 足を開脚して釘を裂ける。

 前からは悠仁、後ろからは恵、

 明らかに体勢を崩して相手から見れば千載一遇である。





伏黒
「 ___ " 万象 " 」





A
「 ! 」

 
 拳での打撃と玉犬の爪での刺突を手と刀で受けた瞬間、
 間をおかずに上から恵の式神である万象が降ってきた。


 校庭に轟音が響き渡り、土煙が舞う。





 伏黒 視点


虎杖
「 やったか!? 」


伏黒
「 いや、分かんねぇ、
 油断するな。 」


釘崎
「 分かってる! 」


伏黒
( でも確実に手応えはあった、
 今までの連携プレイでも一番良かった… )


伏黒
( けど、それが特級に通じるかどうか ___ )





A
「 恵、対決中に考え事なんて余裕だね? 」


伏黒
「 ___ !? 」


 ぬ、と俺の背後から先輩が出てきて、
 思いっきり吹っ飛ばされる。


虎杖
「 伏黒、 ___ 」


A
「 自分の心配した方が良いんじゃない、悠仁、 」


 続けて視界の端で虎杖も同じように吹っ飛ばされる。


A
「 野薔薇も、ね! 」


釘崎
「 ! 」


 釘崎は既所(すんでのところ)で先輩の足蹴りと身体の間に
 金槌を入れて威力を半減していた。


 勝負も絶頂、というところでスマホのアラームが鳴った。


A
「 !…はい、終わりー! 」


 先輩の纏っていたオーラがふっと消えて、にこ、と笑う。


虎杖
「 惜しかった…? 」


A
「 うんうん!連携としては一年でこれだけ出来てれば上出来! 」


A
「 体勢崩したタイミングで三方向からの攻撃も良かったよ。 」

 _→←拝啓 成長覚悟、後輩たちへ



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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/72190cc3072/  
作成日時:2024年1月24日 20時

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