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 A 視点


父親
「 私はそんな子に育てた覚えはない。 」


A
「 育てたもなにも俺の親は母様と、
 お手伝いさんだけだ。 」


 いつもは冷ややかな視線を浴びせる父様に
 萎縮して縮こまっていた俺だけども今日は違う。


父親
「 そうか、ならば家を出ていくが良い。
 お前みたいな親不孝者は西園寺家に必要ない。 」


A
「 …そのつもりだ、こんな家こっちから願い下げだ! 」


 語尾を荒々しく言って父親の元を離れた。










A
( " 西園寺 " の名字は変えられないか… )


 家庭裁判所に許可を取れば変更可能なのだが、
 " やむを得ない事情 " がある場合のみ、らしい。


 子は生まれる場所を選べない。


 私立中学を卒業後、
 貯金を切り崩して二十四時間営業のネットカフェで生活した。


 黒色だった髪を金色に、


 金色のピアスを装着する為、耳たぶに穴を開け、


 肩には桜と蛇の刺青を入れた。


 本来ならば高校も推薦で行くことが決定していたが、
 行くことを拒み、幽霊生徒となっている。


 日中街を歩き回り、
 元からあった " 不思議な力 " で異形のナニカを殺す。

 " 不思議な力 " というのはよく分からないが、
 物心ついたときから備わっていた。

 母様が亡くなり、寂しかった俺を癒してくれた友達を
 呼び出せるらしい。

 そして、その " 友達 " で普通ならば見えないであろう
 ナニカを静かに殺めていく。


 二足歩行でもあり、四足歩行でもあり、
 
 時には腕が長かったり、頭が異様にデカかったり。



 ボンボンからヤンキーに成り果てた時、
 ある人と出会い俺の人生は急転換した。

 

「 …君、もしかして " コッチ側 " ? 」


A
「 は…? 」


A
「 …てか誰だよ、お前、 」


 異形のナニカを路地裏の地面に叩きつけながら言った。



「 そうだねー、不審者だわ僕、 」


A
「 … 」


五条
「 五条悟、東京都立呪術高等専門学校で教師をしているよ。 」


A
「 じゅじゅつ、…? 」


五条
「 そ、今君が潰したそいつ、それを学んだり、
 普通に高校生として生活したりする場所のこと、 」


A
「 … 」


五条
「 君のこと、少し見させてもらったよ。
 ずっと、朝も昼も夜も " そいつ " のことを殺してるよね? 」


A
「 …そうです、けど… 」


 高校一年、夏の始まり、

 十五歳の自分は二十五歳の五条先生と出逢った。

 _→←拝啓 家が大嫌いな自分へ



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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/72190cc3072/  
作成日時:2024年1月24日 20時

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