拝啓 家が大嫌いな自分へ ページ16
拝啓 家が大嫌いな自分へ
伏黒 視点
伏黒
「 …先輩？ 」
A
「 め、ぐみ… 」
か細く俺の名前を呼んで先輩はふらっと前のめりに倒れた。
伏黒
「 先輩っ！？ 」
釘崎
「 ちょ、どーしたんですかっ…！？ 」
狗巻
「 高菜、明太子…！ 」
五条
「 ありゃ、相当酷いねコレ、 」
五条先生は目隠しを片眼だけ見えるように上げて、
先輩の額を触る。
五条
「 硝子の所連れてってなんもなかったら
寮で寝かせようかな…、 」
五条
「 パンダ、頼める？ 」
パンダ
「 おうよ！ 」
そのままパンダ先輩は西園寺先輩を抱えて
校舎へと走って行った。
五条
「 じゃ、皆も各自かいさーん、
きちんと水分摂ること！ 」
と言い、ちゃっちゃかと歩いて行ってしまった。
伏黒
( …心配だし、着替えてシャワー浴びたら
医務室行くか… )
A 視点
お手伝い
「 A様、お食事のお時間です。 」
A
「 …ありがとうございます。 」
A
「 …父様は？ 」
お手伝い
「 今日は会議が一日入っていますので帰ってくるのは
A様が就寝した後かと、 」
A
「 そうですか、 」
母様は小さい頃に病死した。
それから父様は俺のことを見てくれなくなり、
仕事一筋となり、完璧主義者と成り果てた。
俺は今日も一人、またはお手伝いの方と一緒、
今日も毒味を終え、冷めてしまった食事に手をつける。
A
「 …冷たい。 」
誰にも聞こえないようにそう、呟いた。
A
「 父様、…僕、いえ… " 俺 " は家を出て行きます。 」
父親
「 …何を言うかと思えば、もっと面白いことを言え。 」
A
「 俺は本気です。
やりたいことが見つかった。 」
父親
「 ほぅ、何かを聞こうじゃないか。 」
A
「 俺はこんな愛もないクソみたいな家を捨て、
困っている人を助けられる人になりたい。 」
父親
「 馬鹿者が、お前はこの西園寺家の後継ぎなのだぞ？ 」
A
「 そんなの知りません、俺はなろうとも思っていません。 」
A
「 後継ぎが欲しいならもう一度子供をつくるか、
養子を受け入れれば良いでしょう。 」
淡々と目の前に座っている父親にそう伝えると
ずんずんと目の前に歩いてきて俺の頬をぶった。
横で見ていたお手伝いさんが驚愕しているのが見えた。
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作者名：珀 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/72190cc3072/
作成日時：2024年1月24日 20時
