分からん感情. ページ35
. 智洋side
午後の種目も残すところ、クラス対抗リレーだけとなった
3組のトップバッターは俺
その次は流星で、アンカーはしげ
そんで、譜久村さんはしげの前
練習の時は、1回も1位になれてへん
でも、ここまで絶好調の3組やからいけるんちゃう?
よし、軽くストレッチしとこ
しげは反対側から走る流星と話してるから、俺一人でやけど
……昼ごはんの時の、重岡家を見る譜久村さんの顔が忘れられへん
すごく寂しそうやったから
譜久村さんも俺と同じ、母子家庭なんかな
別に、母子家庭なんが不満やないねん
兄弟多いから寂しないし
おかんの愛情は、これでもかっていうくらい感じる
むしろ、愛されてるなって自覚しかないねん
でも、両親がおる家族を見ると胸がざわつくというか
ええなって
羨ましくなるというか……
『続きまして、2年生によるクラス対抗リレーです。各クラスの第一走者の方は、バトンを持ってスタート位置についてください』
「ふぅ……」
気持ち切り替えよ
第一走者はみんな男やから、余計に負けられへん
絶対トップでバトン渡したんねん
『位置について、よーい……スタート』
〜♪〜
ピストルの音が鳴り、一斉に走り出した
「神ちゃん、頑張れぇ!」
応援してくれるしげや、クラスメイトの声に力をもらい、懸命に走った
スタートダッシュが効いたのか、コーナー過ぎてもトップやった
振り向きながら待ってる流星に向かって、さらにスピードを上げた
落とさんように、しっかり流星にバトンを渡す
「流星、頼んだで」
「おう、任せろ」
難なくバトンパスも成功し、一安心
流星を見送りながら、待機してる人の後ろに並んだ
「神山くん、足速いね。一番だったじゃん」
前にいた譜久村さんが、興奮気味に話しかけてくれた
「しげの方が早いで、アンカーやし」
素直に喜べばいいものを、照れ隠しにそんな返ししかできひん
「神ちゃん、お疲れ。そこは素直に“ありがとう”やで」
「なんやしげ、聞いてたんか」
「まっ、俺の方が速いけどな」
「ほんま、一言多いねん」
3人で笑いながら反対のレーンを見ると、流星も1位で次の人にバトンを渡していた
ええ感じちゃう?
この調子で、最後までいけたらええな
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作者名:楓 | 作成日時:2023年8月18日 14時