よろしくお願いします. ページ31
. Aside
『1年生に続きまして、2年生の女子のみなさんはスタート位置に並んでください』
「あれ?譜久村さん出るん?」
私がイスから立ち上がると、神山くんが気づいて声をかけてくれた
「人数が足りないらしくて、急に出ることになったの」
「そうなんや、頑張ってな」
神山くんは、笑顔で応援してくれた
「変なやつ引かんとええな」
「えっ、そんなヤバイのあるの?」
「入れ歯とか、カツラとか書いたの当たるかもしらんで?」
「えっ?」
もしそうだとしたら、借りれないって
持ってるか聞くってことは、そう思ってるって思われるってことだし
「しげ、脅かすなって。そう言うんは、言い出しっぺが当たるもんやで」
「ちょっ流星、怖いこと言うなや」
変なのに当たりませんように
そう祈りながら、スタート位置に向かった
───
『それでは位置について、よーい……スタート』
〜♪〜
みんなが一斉に走り出した
でも全力疾走とかじゃなくて、緩い感じ
レーンの途中に置いてあるテーブルから、裏返しになってる紙を一枚引いた
“友達”
えっ、どうしよう
ヤバそうなのは回避できたけど、転校して早々友達なんていないよ
小学生の時までは友達がいて、毎日本当に楽しかった
でも思春期を迎えると同時に、私を標的にいじめが始まった
あんなに仲良かったのにな
「譜久村さん、早よ探さな!」
大きな声で私を呼ぶ重岡くんの声にハッとした
ヤバイ、私のせいで負けちゃう
友達に……なりたい人でもいいかな
断られるかもしれないけど、声をかけてみよう
私は、3人のもとに向かって走った
「あの……」
「何て書いてあるん?」
神山くんは、優しく聞いてくれた
「……神山くん」
「ん、何?どないしたん?」
私は紙を見せながら、神山くんに聞こえるか聞こえないくらいかの声で言った
「私と……友達になってください」
「何言うてんの?」
そうだよね……言うんじゃなかったかも
「俺らもう友達やん。俺だけやなくて、しげも流星も譜久村さんの友達やで。なぁ」
そう言って重岡くんと藤井くんと顔を見合わせて、3人で笑いかけてくれた
そんなこと思ってくれてたんだ
涙で目の前が滲み出した
「ほら、行くで」
神山くんに腕を掴まれて、二人でゴールに向かって走り出した
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作者名:楓 | 作成日時:2023年8月18日 14時