頑固で男前な友達. ページ18
. 流星side
しばらくして神ちゃんは、涙を拭いながら顔を上げた
「……流星ごめんな、服汚して」
「そんなん、気にせんでええって」
神ちゃんが一番辛いはずやのに、こんな時でも人のこと気遣って……
「俺って見る目ないんやな……初恋やったのに。誰かをこんなに好きになれたの、生まれて初めてやったのに……」
「神山くん……」
「しげと譜久村さん、ありがとうな。俺のために怒ってくれて」
二人は悲しそうに微笑みながら、首を横に振った
「せや神ちゃん、まだ謝ってもらってへんで？」
「しげ、もうええねん」
「……神ちゃん、ごめんな」
「流星のせいやないって。……ちょっとの可能性に賭けたい気持ちは、痛いほど分かるから」
こんなことされても神ちゃんは、同級生の女子の苗字さんを悪く言わへん
ほんまに好きなんやな
「ﾌﾌｯ……みんなそんな顔せんとって。これでも俺モテモテやから、心配せんでもすぐ彼女できるわ」
「神ちゃん……」
「しげと流星ごめんな。約束してたけど今日は俺、一人で帰るわ」
上向いて、涙が溢れんようにして去っていく神ちゃんの後ろ姿を、3人で見ていた
「強いんだね、神山くんって」
「強いっていうか、頑固で男前やねん。すぐ強がって、俺らにも弱いとこ見せへんし。な、流星」
「せやな。……真面目すぎて融通利かへんときもあるし。やから一人で抱え込んで、悩み過ぎてまうんよな」
「結構引きずりそうやな、神ちゃん」
神ちゃんに元気出してほしいな
神ちゃんの好きなことを一緒にやったら、喜んでくれるかな？
ダンス……踊られへん
ゲーム……対戦相手にもなられへんやろな
洋服……あんな奇抜な服、どこで買うてんのか知らん
甘いもの……俺もしげも、神ちゃんほどやないしな
……あっ、せや
「なぁ、譜久村さん。甘いもの好き？」
「なんや流星いきなり」
「甘いもの？好きだけど」
二人の頭に『？』が浮かんでる
「神ちゃん、励ましてほしいねん」
「そないなことしたって、ウザがられるだけやで？」
「言葉やなくて、行動でや。俺らが一緒におったら要らんこと言うてまうかもしらんやん？」
「んー、まぁそうやな」
「譜久村さん、お願いや。神ちゃんとカフェに行ったってくれへん？」
「私は別に、全然良いけど……」
「ほんま？神ちゃん喜ぶわ」
善は急げや、明日神ちゃんに聞いてみるか
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作者名：楓 | 作成日時：2023年8月18日 14時
