喉から出掛かった言葉. ページ14
. Aside
四時限目が終わり、昼休みの時間になった
いつもは、藤井くんと重岡くんと神山くんと一緒に食べるけど
今日は教室で食べようかな
だって……
「神山くーん」
「同級生の女子の苗字さん!」
教室の前のドアから、神山くんを呼ぶ同級生の女子の苗字さんの声が聞こえた
同級生の女子の苗字さんは神山くんに、顔の横で小さく手を振った
同姓の私から見ても可愛い仕草
神山くんは机をかき分け、同級生の女子の苗字さんのもとに急いで向かった
昨日、一緒にお昼ごはんを食べる約束ができたって喜んでたもんね
私、行かない方がいいかな
同級生の女子の苗字さんが神山くんに気があるなら、私がいたら良い気はしないよね
「譜久村さんも行こうや」
お弁当を食べようと袋から出してると、重岡くんにお昼ごはんに誘われた
「えっ、でも……」
「なぁ同級生の女子の苗字さん、俺ら最近譜久村さんとも一緒に食べてんねん。一緒でもええかな?」
「もちろんええよ!よろしくね、譜久村さん」
同級生の女子の苗字さんは神山くんの提案に、嫌な顔一つせず私を受け入れてくれた
可愛い人は、中身まで素晴らしいんだな
「藤井くんも、一緒に行こ」
同級生の女子の苗字さんは、重岡くんの横に立っていた藤井くんの腕を掴んでそう言った
「……お、おう」
急に話しかけられてビックリしたのか、藤井くんは戸惑いながらも返事をした
上目遣いもボディタッチもナチュラルにできちゃうなんて、男の人は堪らないだろうな
───
「いつもここでお昼ごはん食べてたんや」
「せやで、屋上には入られへんから、誰もここまでは上がってこおへんねん」
「噂もあるもんね」
「噂?」
同級生の女子の苗字さんと神山くんの会話を聞いて思わず、気になる言葉を繰り返してしまった
「譜久村さんは、転校してきたばっかりやから知らんよな。……あんな、昔ここで駆け落ちしたカップルがおったらしいねん」
「駆け落ち?」
重岡くんは、私の言葉に反応してくれた
「おん。つまり、来世で会う約束をしたってことやな」
「えっ、それって……」
「その噂を聞いた先生が、気味悪いからって屋上を立ち入り禁止にしたんやって」
そんなことがあったんだ……
ここでごはん食べてて大丈夫かな……
「なんや黙って。もしかして譜久村さん、ホラー苦手なんか?」
苦手って言いそうになったけど、重岡くんにしばらくいじられそうだから言うのやめとこう
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作者名:楓 | 作成日時:2023年8月18日 14時