大したものじゃない. ページ13
. Aside
「俺は……」
「おっ、大将やってる？」
神山くんの返事を待ってると、重岡くんの声が聞こえてきた
何か思ってたより近かったから、妙にドキドキした
神山くんの返事も聞きたかったけど、重岡くんに助けられたかも
「ん、あぁ……いらっしゃい！」
神山くんは、重岡くんの言葉に乗った
さすが関西……
「神ちゃん、何でそんな慌ててんの？」
「ん？そんなことないで？」
「ふーん……あっせや、さっきそこで同級生の女子の苗字さんに会うてん」
「えっ、同級生の女子の苗字さん？しげ、同級生の女子の苗字さんに会うたん？」
急に立ち上がり、重岡くんの肩を揺らす神山くん
「神ちゃん、しげの首取れるで」
あとから来た藤井くんにそう言われて、やっと手を離した
「やって、俺の……好きな人なんやもん」
神山くん、好きな人いるんだ……
そりゃいるよね、年頃だもん
こんな素敵な神山くんが好きになる人って、どんな人なんだろう
「明日、神ちゃんとお昼ご飯食べたいんやって」
「えっ、同級生の女子の苗字さんが？」
「いきなり二人は恥ずかしいから、俺らもいてほしいって。な、流星」
「良かったな神ちゃん。……でもこれからやで、ここからいろいろ頑張らんと」
「せやな……でもこれで、一歩前進や」
好きな人に昼ごはん誘われて、神山くんはすっごく嬉しそう
上手くいくといいな
「ってか梅雨入りしてもうたな」
「そやな流星、まだしばらくは部活できへんな」
「しげと流星はサッカー部やもんな」
「神ちゃんはダンス部やから、どこでもできてええな」
「まぁな、音楽が流れたらそこが俺のステージやから」
「うわ、今のかっこよすぎやろ。な、譜久村さん」
重岡くんに言われて、思わず頷いた
神山くんって、こういうことさらっと言える人なんだ……
「譜久村さんは、部活入るん？」
茶化す重岡くんと、怒る神山くんを見てると、藤井くんが話しかけてくれた
「……写真部に入ろうと思って」
「へぇ、写真撮んの好きなんや。どんなん撮るん？」
藤井くんの返事に嬉しくなる
興味を持ってくれるのっていいな
「何でも撮るよ。風景とか人とか、植物とかいろいろ」
「今度見せてや」
……正直見せたくないな
だって、引いちゃうかもしれないから
私は、曖昧に笑って答えた
「うん……今度ね」
.
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作者名：楓 | 作成日時：2023年8月18日 14時
