【鬼滅の刃】遡行者奇譚 (ページ23)

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番外編参ページ23

竈門炭治郎と『怪しい薬を五本打たないと出られない部屋』

どうやら私たちは今流行りの

『○○しないと出られない部屋』に閉じ込められてしまったようだ。

真っ白な空間の中央に置かれた正方形の机には、怪しい色のした液体が入っている注射器が五本。

そして、その注射器の傍には

『この薬を五本打たないと出られない部屋』

と書かれた紙がご丁寧にあった。

「よし、」

注射器に手を伸ばし、針を己の腕に向けた。

「よしじゃないぞ！？A！毒かもしれないのに躊躇い無く打とうとするな！！」

瞬間、手首にとんでもない力が加えられる。

＿＿＿＿そういえば炭治郎、腕力だけで骨折ってたよな

最終選別のときを思い出して少し身震いした。

確かにこの注射器の中身に入っているのは毒かもしれない。

でも、もしそうなら余計、炭治郎に打たせる訳にはいかないだろう。

「お前が言うに、私は鬼の血が混ざっているんだろ？多少の毒は大丈夫だよ。」

悲しげに顰められた眉をどうにかいつも通りにしたくて微笑む。

「それに！もしこの部屋の所為でお前が死んでしまったらどうする。あの子、禰豆子はまた、家族を喪うことになってしまう。なら、」

＿＿この世界に独りぼっちな私が死んだ方が、マシってモンだ

針をぶすり、と肌に突き立てると鈍い痛みがした。

一本目、二本目。

「待て、………やめっ、」

三本目、四本目。

「Aッ！！頼む、手を止めてくれ…………！！」

ごほんめ。

医術に関してド素人な人間が五本も針を刺したものだから、左腕からはだらだらと血が流れていた。

続.