ひとり・木花焔side ページ5
一人、火山の噴火口に腰掛けた。足を空へと投げ出せば、なんだか飛べるような気持ちになる。
ゆっくりと下を見れば、眼下に広がる私の大切な箱庭。うっすらと赤色に染まった、どこか寂しいところだけれど。活気の溢れる、と言うわけでもないけれど。私の大切な箱庭だ。
ここに限らず、人々は暖かくて儚くて、そして脆い。
例えば、今私が腰掛けるこの噴火口に近づこうものなら、熱でやられてしまうだろう。
そう、姿かたちが一緒でも、中身が一緒とは限らない。生きている、存在している年数も違う。
そう言うのは、何だか寂しいものだ。
ずっと、なんてありえない。そんなこと分かっているはずなのに。
頭では理解していても、心はそれを許してはくれない。あぁ、なんて面倒な身体なのだろう。
なんて残酷なのだろう。
「存在している世界が一緒でも、生きている世界が違ったのでしょうか。」
いや、違うのは当たり前だ。そう、仕方がないことなのだ、きっと。
あぁ、自問自答を繰り返すのも、なんだか飽きてしまう。
あぁ、こんなにもたくさんの感情に襲われたのは初めての事かもしれない。いや、もしかしたら、遠い昔に経験していたのかもしれない。はて、どうだったか。
長い時間を、ただ楽しみながら生きていたあの頃が懐かしい。あの時は、何も知らぬ無邪気な子だったなぁ、なんて。否、そんなの無知が故の儚い幻想だ。
昔の、まだ幻想を抱くような、そんな無知な私に言いたい。
「お前は誰だ」
、と。
広がる箱庭から目を離し、遠くに広がる世界を見据えた。あそこにも、あそこにも、私と同じモノがたくさんいる。私は多分、ひとりではないのだろう。
そう、”一人”ではない。”独り”なのだ。
これは変わらぬ事実であり、現実だ。現実から目を逸らす、なんてそんな子どもみたいなことはしたくない。だから今日も、明日も、ずっと。
独りでいることが、生きるための対価だというのならば、私はそれを甘んじて受け入れましょう。
「あぁ、もうこんな時間じゃないですか。早く降りないと。」
瞳に溜まった水を拭い、私は立ち上がった。
さっ、と服に付いたゴミを払い山を降りていく。
この山の麓に、美味しい甘味処があったはずだ。そこで一息つこう。うん、そうしよう。
でも、麓へ降りてから思い出した。
そうだ、今日。
ここ、なくなっちゃったんでしたっけ。
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阿須波(プロフ) - 鞠雀さん» それもそうですね、そうしましょう (2016年9月15日 21時) (
レス) id: b541fa0e49 (このIDを非表示/違反報告)
鞠雀(プロフ) - 阿須波さん» そう言われればそうですね。でも、お借りしているキャラを何回も連続して使わせて頂くのは流石に申し訳ありませんし……やっぱり他の方の更新を待ってみることにします (2016年9月15日 21時) (レス) id: 5eebaad0ab (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - 鞠雀さん» あ、二連続で更新されてる方もいらっしゃいますし話が繋がって読者様も見やすいので更新に関しては全く問題ありませんよ (2016年9月15日 18時) (レス) id: b541fa0e49 (このIDを非表示/違反報告)
鞠雀(プロフ) - 阿須波さん» そうですね……流石に２連続は申し訳ないので私は更新できないのですが…… (2016年9月15日 2時) (レス) id: 5eebaad0ab (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - 鞠雀さん» あ・・・・どうします？ (2016年9月15日 1時) (レス) id: b541fa0e49 (このIDを非表示/違反報告)
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